「おおーい!ルリ、できたぞ。」
ウソップはうれしそうに何かを持ってルリに走り寄った。
「ゾロと寝てんのか。猫だもんな。」
ウソップはルリの左足と左耳に何かを付けた。
「よし。早く起きねェかな〜。」
そんなウソップに気が付いたゾロはむくりと起き上がった。
「ん。呼んだか。」
「おしいな〜。こっちに起きてほしいんだ。」
「ん?」
ゾロは自分が何かによりそられていることに気が付いた。
「ルリ。こんなとこで寝てたのか。」
「似たもん同士だな。」
ウソップはゾロに笑いかけた。
「ん?あ、おはようございます……。フワア。」
「見ろよ、ルリ。」
ウソップが差した方向に目を向けた。自分の腕に何かの腕輪が付いている。
「なんですか?これ。」
「お前、妖怪になりたいと思ってみろ。」
ルリは爪と牙をむいて毛を逆立てウソップに威嚇した。
「……!いい加減にしてくださいよ!怒りますよ!?」
「そういう意味じゃねェんだって。」
ルリは静かにウソップに言われたようにしてみた。
ルリの体がゆっくりと大きくなっていく。
「……」
ゾロが刀に手を置いてルリをにらむ。戦闘態勢だ。
「待てゾロ。これは……よっしゃァ!大成功だァ!」
「な、なんですか、これ……」
ルリはその場でクルクルと回った。
「すげェだろ?言ってしまえば、もうルリは満月の夜に悩むことはねェぞ。」
「と言いますと?」
いまいちウソップの言っていることがわからなかった。
「その姿は自分の意志であやつることができるってわけだ。」
「う、そ……!てことはこれは妖怪姿なんですね!?はじめてみますよ。ありがとうございます、ウソップさん!」
ルリは感動で目を輝かせた。
「でも……やっぱり醜いですね。これが私なんだ。正直ショックです。」
「……ああ。でも、よかったなァ!」
「はい!でも、しばらくちゃんと封印しておきます。しかるべきに出すことにしましょう。」
ルリはウソップににっこりとほほ笑んだ。