「ゾロさぁぁぁぁぁんッ!」
「グベッ!」
ルリはドーーンとゾロの顔面に飛びついた。100人の賞金稼ぎも唖然として静まり返っている。
途端にゾロの眉間にしわが増えた。ルリの首根っこをつかんだ。
「てめェ……!」
「で、でへ……あは、あは、あははは。」
相変わらず、ゾロはルリの目を見ている。そんなゾロの貫録で、目をうるうるさせている。ルリには悪いがとても愛おしい抱きしめたくなる顔だ。もちろんゾロには通用しない。
「ご、ごべんなじゃい……エグッ、ゾロざんがあぶないと思って……」
「ったく。そんな顔して危ないなんて言葉があるか。アホめ。」
ゾロは自分の腹巻にルリを入れた。
「とりあえず、オレのことは心配無用!」
「撃てェ!」
そんなルリと賞金稼ぎが銃口を向けた時にはゾロは賞金稼ぎの人込みに紛れて一緒に探しているフリをしている時だ。
「ゾロさん……何やってるんですか!」
お茶目というか、大馬鹿というか。そんなことを思っているとき、ゾロはルリを見てニヤリと笑った。
「オシ、やるか?」
そういうと、またゾロは身をかがめて建物の後ろに回り込んだ。
ストンとルリは腹巻の中から出た。
「私も戦いたいです。腹巻の中に入ってじっとしてるなんて、恥ずかしいです。」
「ふん。オレだけで十分だ。」
そういうと、ルリは妖怪にすっと形を変える。
「私だって……戦える力は十分にもっています。この力を使ったことはありませんが。」
「だったら他をあたれ。ここはオレでやる。」
「わかりました。どうか御無事で。」
「お前こそな。」
ルリは小さくお辞儀して、走り去っていった。