小説『ONE PIECE 麦わら一味』
作者:ちわわ♪()

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「くそっ!あの4人のエージェントが負けるとは。」

「あいつらやべェぜ!見つかる前に逃げたほうがいい!」

 何人もの賞金稼ぎの下っ端たちが青ざめた顔で走っている。

 バサッ!

「ア、アンラッキーズ!」

 目の前にはいかにも怪しそうな鳥とラッコが立ちはだかっている。

「ちっ、違うんだ……」

 アンラッキーズが飛びかかって行った。

「ミャアアアアアアオオウッッ!」

 黒い影が賞金稼ぎの前に立ちはだかった。

「!?」

 アンラッキーズも突然の刺客に驚いたようだ。

「ふふふ。驚きましたか?」

 もちろん妖怪姿のルリだ。

「ダメですよ。動物が人間をいじめたら。仲よくしないと。ね?」

 どうやらルリはこの人たちの正体を知らないようだ。さっきまで見ていた賞金稼ぎだということを知らないようだ。

 シュッ!

 ラッコが貝をルリの足めがけてに勢いよく投げつけた。ジャンプして飛んできた貝をよける。

「わたしに手を出しましたね?妖怪に手を出したら……たたられますよ。」

 そういうと、目の瞳孔が細くなった。長くするどい爪を出し、牙を伸ばした。完全なる戦闘モードだ。

 爪をペロリと舐めて、キッとアンラッキーズをにらんだ。

「この力を試せる……いい機会ダ……さぁ、お前らが最初の実験台なんダ……」

 あまりの気迫と突然の変わり身ににアンラッキーズはガタガタと震えていた。

「グルルルルルル……シャアアアアアッ!」

 ルリはアンラッキーズに飛びかかった。そして、一瞬にして深いひっかき傷を作った。ばったりと倒れた。

「フゥーッ、フゥーッ……!」

 人間姿に戻ったルリ。フラフラッと立ち上がって顔を押さえた。

 何かがおかしい。覆い隠した指の隙間に見える目は血走っていて瞳孔は細く、野生の色が見えてしまっている。

(……!?私……おかしい……!うまく人間に戻れない……!)

「あ!おーい!ルリー!どこに行ってたのよ!」

 ナミがルリに手を振った。ゾロとルフィも横にいる。そしてカルーとビビも。

 キッとナミをにらんだ。大きく見開かれてしまっているルリの目。人間のものではない。

「ル、ルリ……!?どうしちゃったの?」

 ドクンッ。ドクッ、ドクドクドクッ!

 まるで血が沸騰して煮えくり返ってしまったような感覚に襲われる。もういつものルリは体の中から消えてしまっていた。

「コロシテヤル……!」

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