「ねぇっ!ルリ!」
ナミ一同はじりじりと後ずさりしながら、必死にルリに呼びかけた。
そんな呼びかけもむなしく、ルリは妖怪に変化した。
「おい!ルリ!お前気は確かか!」
「ルフィ。あいつの目を見ろ。まるであの時と同じ目だ。いつもとは違う。」
「でも今日は満月じゃない!」
ルフィたちはおろおろするしかなかった。この時のルリには手の付けようがないのだ。
『ガルルルルルルルッ!!』
「どういうこと!?あの怪物は何者なの!?」
「わたしたちの仲間よ!あの猫のルリよ!」
「あれが……」
「クエッ」
ビビとカルーは息をのんだ。あの時のかわいらしいルリとは別物のようだ。
「本当だったら満月の日にこうなるはずだ。だが、ウソップが開発した物でコントロールできてるはずなんだ。それに、このタイミングでこうなるのは本来ならおかしいんだ……」
ゾロは刀に手を置き、身構えている様子で説明した。
『ハァッ、ハアッ……フゥッ!ギャオオオッッ!』
どうやら何か苦しんでいるようだ。息遣いが荒く、よだれを垂らしている。
真っ暗な暗闇の中で、光る血走った眼。なんだか不気味だ。
そんな時だった。突然バタリと倒れたのは。ゆっくりと本来のルリの姿に変わっていった。
「ルリ!ルリ!大丈夫か!?」
ルフィの腕の中でグッタリと死んだようにダランと身を任せていた。
「大丈夫なの?その猫ちゃん……だいぶ疲れているようよ。」
そういうと、ルフィからそっとルリを取った。そして、ゆっくりと頭からしっぽにかけて撫でた。
「う……ん?」
ルリがゆっくりと瞼を開けた。
「おぉ!ルリ!起きたのか!すげェな!お前!なんかしたのか?」
「あれ?私は何をしていましたか?」
ルリはキョトンとしている。その大きな目はビビをとらえていた。ビビはそんなルリをギュッと抱きしめた。
「かっ、かわいい!本当にさっきの化け物はこの子なんですか?」
「ケホッ!痛いよぉ。」
ルリは前足でルリの肩を押した。
「ん?化け物……?私、またあの時みたいになってたんですか?……だから記憶がなくなってるんだ。ううう。本当に体中が痛くって……胸が苦しいんです。」
「それに、今日は満月じゃないんです。この前ウソップさんが作ってくれたこれがあるからあんなときみたいにはならないと思ってたんですけど。やっぱりウソップさんのウソだったのでしょうか……」
ルリはショボンと耳を垂れた。
「いや。ウソップはそんな人を不幸にするようなウソはつかない。」
「ウソップ……それより!追手が来る前にここをでなきゃ!もう社長の名前も知っちゃった!それに、ビビ!あんたを送る約束もした!ウソップとサンジくんを連れて出港するわよ!」