しかし、その黒い猫に近づくものがいた。緑髪の3本刀の剣士―ロロノア・ゾロだった。
「なんだこの猫……おい。生きてるか?」
乱暴にゆすった。返事はない。
猫の首根っこをつかみ、胸に耳をあてがった。
トクッ、トクッ、トクッ……小さな心臓の音が聞こえた。
「とりあえず拾っとくか。」
腹巻の中に入れた。
「あっ、おぉいっ!ゾォロォー!どこ行ってたんだよ、勝手に行くなよ。方向音痴のくせに。」
ウソップだ。
「おお。クソマリモ。生きてたのか。」
「どういう意味だよ。」
下手したら取っ組み合いになりそうだ。ナミがゾロの背後に回った。
ガンッ!
鈍い音がする。
「グヘェッ!なにしやがるっ!」
「勝手にノコノコ歩くなっ!」
「にしてもすごい荒れた村だなぁ……海賊に襲われたのか?」
ルフィが腕を組みながら言った。
「そうかもしれねぇな。荒い海賊だぜ。」
ウソップとルフィは勝手にうなずきあっている。
「あれ、ゾロ。なにその汚い猫。」
ナミが腹巻の中の猫を指差した。
「ああ、コイツか。……拾った。」
グッタリとする猫をみなマジマジと見つめた。
「この猫は腹をすかしている……みろ。この骨。だいぶ食ってない。今すぐ船に持ってくぞ。」
サンジは猫をゾロからひったくって船へ急いだ。