――数分後、首都ウィングトンのダウンタウン――
加えてお昼時という事もあって、趣のある石造りのダウンタウンは所狭しと人でごった返していた。
フードショップはもちろん雑貨や服屋、武器やまでもがそこそこの人で溢れかえる……人間ってのは何所へ行っても変わらないようだ。
俺はミカに手を握られてその中を歩きながら観察する。
そういやさっきから休日っぽいカップルや家族連れが多い気がするな。
「今日は休日なのか?」
俺の問いにミカは頷きフランクフルトを頬張りながら、
「ひゃい、ひょうはにちようですふぁらえ〜」
ちなみに今のを訳すと「はぁい、今日は日曜ですからねぇ〜あー郁葉が私だけのお兄ちゃんにならないかしらうふふ」
である。
おっとミカさん蹴らないで下さい興奮しますからフヒヒ。
「ごっくん……相変わらずのキモさで感心しましたよ」
「それほどでもぉ〜」
某国民的アニメの五歳児を真似る。
ぞうさんとかミカの目の前でやったら確実に俺のぞうさん狩られるにちがいないだろうな、うん。
いやでもそれはそれで御褒美……いや待てよ、それじゃあ本末転倒じゃね?
「ちょっと心の声が普通に漏れてるんで黙って下さい気持ち悪い……あ、着きました!!!」
そんなくだらない事を考えていると、ミカお目当ての服屋に到着した。
一見するとちょっと古風なその店は、他の店に比べるとかなり小さいながらもしっかりとした気品のような物に満ち溢れているように見える。いや俺気品とか微塵も無ぇけど。