小説『ロリコン勇者のファンタジー』
作者:Ciel(Eエブリスタ、ふらん(Ciel)のページ)

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――同時刻、マリアの寝室――



 俺達が資料に関して色々と話し合っているのと同じ頃、マリアは自室でとある本を読んでいた。
その物語は、とある少女が天使と共に異世界へと旅立ち、悪の魔王を倒す旅に出るというもの。
彼女はその物語がノンフィクション、つまり実話に基づいているという事を知っている。

実際にその少女とマリアは、その昔に話したこともあり、食事もしたこともある。


「ふぅ……論文まとめなきゃ」


とりあえず栞をはさんで本棚に戻すと、彼女は机に散らばった魔術に関する論文をまとめる事にした。
膨大な数の原稿用紙を疲れた面持ちでファイルにまとめて行く。
彼女は魔術師の中でも天才と言われるほど魔術に長けており、それ故あちこちの学会から引っ張り凧なのだ。
特に「白の属性」を初めて応用した魔術師としても知られており、これからの魔法学をリードする人物として注目されてもいる。

一通り論文をまとめると、彼女は少女らしい趣味のクマのぬいぐるみを抱いてベッドに倒れ込む。


「……お父様、ちゃんと休んでるかしら」

実はファザコンとして知られる女王。
いつも多忙な父の身を案じているらしい、もっとも彼女の疲労も相当なものだろうが。

うとうとと、考え事をしながら眠りに就こうとする。
健全な男子中学生ならここで色々とファンタジー的な妄想に耽るのだが、女の子はどうなんだろう。


と、その時だった。



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