「この様子じゃ、俺はいらなかったかな?」
念のために銃のセーフティは外した状態で、剣の血を払って鞘に納めているマリアに話しかける。
彼女は息を切らして挨拶するように軽く手を上げると首を振った。
「来てくれなかったら危なかった、助かったよ郁葉」
そう言って彼女は傍にあった椅子に腰かける。
どうやらインドア派の彼女には激しい運動はきつかったようだ。
と、そんな時急に部屋の扉がバタンと勢いよく開いた。
不意な事態だったので銃口を向けると、そこには返り血を浴びたクリームヒルデとウルフィアスの姿があった。
見た所、外にも敵がいたらしいが彼女達が片づけたようだ。
「御嬢様ッ!!!!!!」
クリームは叫ぶと真っ先に疲弊しているマリアの下へ駆け寄り身体をがくがくと揺さぶって声を掛けた。
「大丈夫ですかッ!?御怪我はッ!?」
「ちょ、クリーム、やめ」
物凄い勢いで揺さぶられているため、なにやらマリアは苦しそうだったがなんだか微笑ましい。
とりあえずはマリアをクリームに預け、ウルフィアスと現状の確認をしようとする。
「天使の坊や、また会ったな」
と、老兵の後ろからSKAGの隊長が出てくる。
事前に察知していただけあって行動が早いなこいつ……
「……こいつらはどこの部隊だ?」
なるべくマリアに聞かれないように小声で話す。
いらぬ心配を王女に掛けるほど無神経ではない。