「傭兵のようだ、おそらく元特殊部隊のな」
と、暗闇の中からSKAGの隊長が姿を現した。
やはりこの人も襲撃に気付いていたか、抜け目のない奴だ。
「……あんた分かってたんなら教えてくれりゃよかったのに」
そうすればラペリングしなくても万全の体勢でマリアを守る事が出来たのに。
あえてそれは付け加えなかった。
言わずとも察しているのだろう、隊長は何度か頷いて、言った。
「メンバーが俺しか残って無くてね、調べるのも一苦労だったんだ。今回の誘拐を知ったのもさっきだしな」
「……まぁいい」
つまり俺のせいですかそうですか。
ちくしょう、それを言われるとちょっと困ってしまうがまぁ終わった事を何度もほじくるのはお互い趣味じゃないだろう。
とりあえずはこの場を収めるため、SKAGの隊長とウルフィアスに簡単に今後の事を話す。
まぁ一人でも息のある奴がいれば芋づる式に依頼主を割り出せる可能性もある……その逆もまた然りだが。
「ウルフィアス、SKAGを再編できるか?」
今は俺たち以外にも王暗殺を防げる人材が欲しい。
その上での再編を俺は求めた……もちろん信頼できる人間でなければならないが。
「難しいが、やってみよう」
ウルフィアスの言質を取った、後はSKAGの隊長だ。
「あんたはこいつらが誰に雇われたのか調べてくれ。……こりゃ本格的に動き出したかもしれん」
王の娘を誘拐するなんざ狂気の沙汰だ。
狂気は伝染し、拡大する……今度はもっと大きな波乱を呼ぶ。
そんな狂気に俺達は受け身でしか対応できないのが歯がゆいな……
ちらちとマリアの方を見る。
彼女は揺さぶられてくらくらしていてそれどころではないようだった。