「向こうから何か聞こえますよ!」
「話題変えやがったよ……」
本当に天使がそれでいいのかオイ、と突っ込みたくなるがまぁもういいや、とにかく走っていくミカを追わないと。
もし見失ったら帰れないからな……
しかしなんかとてつもなくざわざわしてるがなんだろう、ざわざわ……
と、まぁそんなこんなでミカたんのちっこい後ろ姿を追う事数分、見晴らしのいい丘に到着した所でようやく騒ぎの原因が明らかになった。
それを目の当たりにして俺は言葉を失う……そりゃそうだ、誰だって言葉が出ないだろう。
「いや〜素晴らしく映画チックな光景ですね」
「これが映画チックならミカの映画の趣味は偏ってるだろ、多分」
俺達の目の前に広がる光景……それは中世をモチーフにしたアクション映画を見ているような、そんな光景。
つまり戦場だった。
ウワァアアアアアアア!!!!!!!!!
激しい怒号や悲鳴が入り乱れ、蟻の行列みたいな人間達がぶつかり合っている。
その迫力はハリウッドも真っ青な出来栄えで、まさに地獄絵図だった。
赤いユニフォームの軍勢と緑のユニフォームの軍勢が争っているようで、赤の方が勝り気味というのは一目両善だ。
俺はホフクでその光景をじっくり観察する。
「ホフクして観察してもここには幼女は居ませんよ」
ふと俺の後ろで体育座りするミカが言った。
「俺もシリアスとギャグくらいは分けるからね?それにそんな見境なく幼女探しませんからね?
……もしスナイパーが居たらこんな場所丸見えだろ。分かったら君もホフクして身を隠したまえ」
スナイパーじゃないにしても、誰かに見つかったら厄介だ。
前線から500メートルの距離に居る敵なんて、目のいい奴なら3秒で発見しちまうからな。
「嫌ですよ、服汚れちゃうでしょ」
「なら汚れた服は俺が責任を持って処理いたします、ハァハァ」
見境いとシリアス何処行った。