「もう逃げられんぞ!もう一人の仲間は何処だ!?」
フードマントで身を隠しているがやたら体格の良い騎士とやらが剣を向ける。
あの剣は俗に言う長剣で、リーチが長く比較的軽いため、片手でも扱える実に厄介な武器だ。
俺は左手でククリを鞘から引きぬく。
「言う訳ねぇだろうがガチムチ野郎、ハッテン場でレスリングでもしてろ」
ハッテン場の意味はさっぱりのようだがバカにされている事は理解したらしい、騎士の男は怒ったように声を荒げる。
「こやつめッ!剣の錆にしてくれるッ!!!」
「待て、勝手な事を……」
そう言うと奴は一人、仲間の制止を振り切って剣を構えて突っ込んできた。
それなりに訓練は積んでいるらしく、スピードや動きにかなりのキレがあるようだ。
だが直情的な奴は早死にするって偉い人が言ってた。
つーか死亡フラグすぎる。
「ステップ1、安い挑発には乗らない」
俺はCz75をククリに対応できるように構える。
「死ぬがいいッ!!!」
剣を振り下ろす騎士、そしてその剣はククリによって受け流される。
直後、奴の右足目掛けて9mm弾を一発お見舞いしてやる。
どうやらこいつ、足に金属製の防具を着けているようだが難なく貫通出来た。
「グオッ!?」
体勢の崩れる兵士の後頭部に思い切りククリ側面の平らな面を打ち付ける。
ごんッと鈍い音がしたが死んでは無いはずだ。
男は短い断末魔をあげると倒れて動かなくなった。