「うおぉおお!!?」
兜割りのすぐ後に、身体への負荷とか物理なんかを無視して放たれる横薙ぎ。反撃を捨ててその場にしゃがみ込む。
刹那、ゴォオオオ、とまるでジェットコースターが通り過ぎるような音と共にバカでかい鉄塊が凄まじい速度で真上を通り過ぎて行く。
このままガラ空きの腹へククリを……
そう思ったのもつかの間、カクンと。
「はぁッ!!?」
まるで吸い寄せられるように、ウルフィアスのクレイモアが「俺」目掛けて方向転換し、斜めから下にいる俺へと迫った。
瞬時に状況を把握する。
この場合、俺はどうすればこのキルゾーン(絶対殺傷範囲)から逃れられる?どうやれば俺はこのクソジジイに一泡吹かす事が出来る?
そんな、小さなパズルのピースを、複雑に入り組んだ迷路から探し手もぎ取るような作業を。
ほんの一瞬で、もはや本能的なもので処理すると、身体が動く。
即座に身体を後ろにそらす。もはや組み体操並みのブリッジをするかのように上半身を必死に後ろへそらす。
唸るような声をあげて、必死に避けたせいか、斜めに振り下ろされたクレイモアは俺をぶつ切りにせずに空を斬る。
俺はそのままブリッジした時の運動を利用してバック転しながらナイフでウルフィアスを攻撃する。
なんでバック転なんて厨二なことするんだ、と思うかもしれないがこれには理由があり、まず仰向けに倒れてから起き上がるタイムロスを無くすのと、ちょっとやってみたかったっていうやっぱり厨二心があった。