小説『神のミスでONE PIECEに転生させられた男』
作者:八咫()

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『接触と再会』





トレーニング開始から数か月。

「ふぅー少し休憩するか」

額に汗をかきながら体を伸ばす。地面に転がり、目をつぶる。

「ん? 誰か来たのか」

アスラは島中に見聞色の覇気を使ってこの島に生息する生き物たちを見ていた

が、

「こりゃ、人だな。数は一人か……いや船にもう一人いるな」

見聞色の持続力と効果を上げるために常時使っていた。

「こういう時に役立つな」

アスラは起き上がり誰が来たのか確認するために木の上に潜む。もちろん手に

はゲイ・ボルグを握っている。

「…………あれはロビンか?」

遠目であったが確証はあった。

「……なるほど、あんなことを起こしちまったんだ。こうなることもあり得る

のか」

誰が来たのか分かったため、木から降りてロビンに姿を見せる。

「…………魔槍のアスラね」

「そうだ。あんたはニコ・ロビンで会ってるか?」

「ええ、知っているのね」

「自分に懸賞金が掛かるまでは賞金稼ぎをしていてな。当時の写真と面影があ

るから」

「そう……ここに来たのは」

「なぜあんなことをしたのか? だろ?」

ロビンが言う前にアスラが答える。

「ええ、教えてほしいわ、あの悪夢になぜ立ち向かえたのか」

「うーん、そういわれると難しいな……まぁ、仲が良かったからかな」

「……どういうこと」

「まぁ当初死槍なんて付けられて、気分で東の海に向かったんだ。それでも手

配書が回っているから最初は怪しい人だったんだけど、だんだん信頼されてい

ったんだ。それで仲良くなったって訳。それだったら助けるなんて当たり前だ

ろ」

「…………自分が死ぬと思ってなかったの?」

「思ってたら立ち向かわないよ、絶対に勝つ。それだけだったよ」

「……そう」

「オハラは残念だったな」

「っ!!」

そうアスラが言った途端ロビンは少しだけ震えていた。

「大事な場所、帰る場所がないのは辛いと思う。けどいつかお前を迎えてくれ

る人が、場所ができるさ、だから死のうとか諦めたことは考えるなよ。生きる

ことだけ考えてろ」

「……私は……」

「あんた、夢は?」

「えっ?」

「夢だよ夢、なんかないのか? 世界中の食べ物を食べるとか、未だ誰も言っ

たことのない場所へと行くとかさ」

「私は……歴史の本文を空白の百年を知りたい。そのために真の歴史の本文を

探しているわ」

「なら、そのために生きろ。お前には生きる権利がある」

「でも、そのためには障害が……」

「いつか出てくるさ、障害をものともしない奴らが」

振るえるロビンの肩に手を乗せる。

「生きていいんだよ。いや、生きろ。死んだら何もできないからな」

「……あなたは私を生かしてくれるの?」

「今はまだ無理かな。まだまだ弱い。でも、いつか必ずあんたを支えてやる。

仲間と心から思える奴らと一緒にな」

「そう、じゃ、楽しみにしておくわ」

ロビンの震えは止まり、笑顔を見せる。そしてアスラに背を向けて来た道を歩

き出す。

「またな」

「ええ、また」

それだけ言って二人は別れた。いつか再会すると誓って。







ロビンが訪れてから数週間がたった頃、見聞色の覇気と習得できた紙絵などを

組み合わせたり、剃と月歩も習得して技のレパートリーを増やした。

また。見聞色の覇気がさらに成長して天の目視点から見ることができるように

なった。

小島程度なら耳で聞き、目で見ることができるようになり、生物以外にも無機

質も感知するようになった。

そんなある日。

「ん? ずいぶんと多い来客だな。数は……あれ、もしかしてハンコックたち

か? なんでここに」

天の目改め天眼で島に寄港する船を見たのだった。

「あそこは二匹の蛇? みたいな奴がいるから分かりやすいな〜さて、島の反

対にいるんじゃ大変だろうから、こっちから行きますかね」

アスラは槍を持ってハンコックたちへと近づく。

木々の間を通り抜けてハンコック率いる九蛇海賊団を発見した。

「元気そ―うおっ!」

木々の間から出て挨拶をしようとしたところ部下の女性たちに攻撃された。

「なに「何をしておる!」おいおい……」

「も、申し訳ありません! 突然男が出てきたものですから」

「わらわは昔の友に会いにゆくといったはずじゃ!」

「し、しかし、蛇姫さまに何かあったら」

「あー気にしてないからいいよ? それより久しぶりだな。ずいぶん経つんだ

な」

「う、うむ久しいなアスラ。こ、ここではなんだからどこか話せる場所へ行か

ぬか?」

「良いけど、ろくなもんないぞ?」

「構わん。わらわたち三人で行く。他の者は待機しておれ」

『はっ!』

「んじゃ、こっちだ」

アスラは三姉妹を連れて自身が寝泊まりしている場所へ案内する。

「さて、五、六年ってところか? 元気そうで何よりだ」

「ええ、その間にあなたはまたとんでもないことをしたけど」

ソニアが皮肉っているのか少し意地悪そうな笑みを見せた。

「しょうがないだろ、海軍の馬鹿どもが仲良くしていた村に砲撃したんだ。そ

れなりに怒りたくなる」

「怒っても勝つのは無理だと思うんだけど……」

三女マリーが足元をすくうようなことを言うが、

「そう思うから勝てないのさ、自分には不可能はない、そう思ってれば意外と

勝機はできる」

実際は星の開拓者の恩恵もあるわけだが、そんなことは言えるわけないのでア

スラは黙っていることにした。

「天に抗い、世界に刃向った。次は何をするのじゃ?」

楽しそうにハンコックが聞いてきた。

この時二人の妹は(姉様楽しそう……)などと思っていた。

「そうだな、何れは一人で国を落としてみるか……いや、冗談だよ? そんな

に引いた顔すんなよ妹ども」

ソニアとマリーはやりかねないと内心思っていた。

「ふふ、おぬしならやりかねないな」

「ずいぶん楽しそうだな。傷は癒えたか?」

その質問をした瞬間三人は自分の肩を掴んだり、頭を抱えたりした。

「まだのようだな。いや、五、六年程度の月日でどうにかなる物じゃないなす

まん。失言だった」

自分に非があったと謝罪する。アスラに、

「いや、わらわたちこそ五、六年も経ったのに克服していないのが悪いのじゃ

、アスラに非はない」

(無理しやがって)

「まぁ、いつか海賊をやるかもしれないからその時は頼ってくれよ」

「……海賊になるのか?」

「ああ、今は実力不足だからな特訓中なんだ」

三姉妹は内心必要なのか? と思ってしまったがアスラの次の発言に驚くこと

になる。

「いや、見聞色の覇気は使えるんだけど、あのときは実力者が出てきてたから

通用しない時があったわけだ。だからそんなことがないようにしたいわけ」

「は、覇気が未熟で軍艦十隻に挑んだの!?」

ソニアが驚愕の表情で尋ねるが、アスラはケロッと、

「ああ、悪魔の実は食べてないから泳げるしな」

絶句。三姉妹はそれしかできなかった。

アスラは三人の表情を見て、転生の特典のおかげとは言えなかった。

「ま、まぁ俺の話をしてもつまらないだろ? お前たちはあの後どうしたんだ

?」

話題をそらすことにしたアスラはその後たわいもない話で盛り上がった。

夜になってハンコックたちは船に戻った。その際に、

「また会おうアスラ」

「ああ、また」

三人とまた会う約束を交わしたアスラは満足そうに眠りについた。






そしてさらに数年の時が経つ。






特訓を終えて島から出て行こうとするアスラの前に一枚の紙が降ってきた。

「なつかしいな」

紙には字が書いてあり、十年ほどまえに見た神の文字だった。

『久しぶりじゃのう。これまでのおぬしの活躍は見ておったぞ、なかなか勇ま

しいのぉ羨ましい限りじゃ、
 さておぬしにこの手紙を送ったのは他でもない新たな特典を付けてやろうと

思ってな、何ちゃんと強力な物を選んであるわい「別に頼んでないけどな」お

主に与えるのは、

 嵐の航海者というスキルじゃ本来じゃったら集団のリーダーやカリスマを含

めた物なのじゃが、その部分は弱くさせてもらった。代わりに船の操作や軍略

を強めておいたぞ、どうせ原作主人公の船に転がり込むんじゃろ? これぐら

いがちょうどいいと思ってな。

 それと作品とはだいぶ違うが軍神五兵も加えておいたぞい。これは五回攻撃

する間他のスキルや能力を失うが、自身がその世界で習得した力が五倍に膨れ

上がる物じゃ、ただし、五回攻撃を終えると少しの間通常の二分の一に下がっ

てしまうからな気負付けてくれ。

 では、武運を祈る。

PSこの手紙はお主の手から離れると自動で燃えるぞい
                               神』


「なんか見透かされてる感があるな、まぁいいか」

手紙を離して燃え終わるのを見てから船に乗る。

「しかし、どこでルフィたちの仲間になろうか……うーん、やっぱローグタウ

ンかな」

アスラは船を動かし再びグランドラインを出て行った。

これによりまたもや海軍が騒ぎ出すのだが、アスラには知ったこっちゃなかっ

た。









<あとがきと言い訳>

どうも八咫です。このたびは11ページ目を見ていただきありがとうございま

す。そしてすいませんでした! 余計な物を追加してしまい。不快に思われる

方がいるかもしれませんが、様々なことを考えた結果、この世界で習得した技

を生かせないのでは? と思いこのような物を追加しました。



謝辞

幽様、ゆや様、HIBIKI様感想ありがとうございます。

三人の意見も参考にしつつこれからも書いていこうかと思います。

また、どうしても期待に応えられない場合があります。その際はご了承くださ

いますようお願いします。


次回何か思いつかなければ原作へと入って行こうかなと思います。

原作の十一巻辺りからです。ローグタウンの事件から原作とアスラが出会いま

す。

では今後とも神のミスで〜をよろしくお願いします。

-11-
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