『激突』
「治療代はいくら払えばいいんだ?」
ルフィとサンジがチョッパーを追いかけている間、アスラはドクトリーヌと金銭の話をしていた。
「そうだね、ずいぶんと珍しい病気でこっちも面倒だったからね。船にある金目の物全てと、食料の50%をよこしな」
「うーん、金はあるから困らないんだけど、食料な〜どうするか……」
アスラが悩んでいると、
「ドクトリーヌ!」
チョッパーが部屋に入って来た。
「おや、どうしたチョッパー」
「ワポルが、帰ってきた!」
「そうかい……」
ドクトリーヌはそれだけ言ってビンに入っている酒を飲んだ。
「な、なんなんだこれは! 俺様の城が!」
ワポルは自身が暮らしていた城の姿を見て驚いていた。
そこへ、ドクトリーヌとチョッパーが現れる。
「ここから出ていきなワポル。ここはあんたが居ていい場所じゃない」
「ヤブ医者風情が図に乗るな! ここは――」
「ゴムゴムの銃弾!」
ワポルが言い終える前にルフィが駆けつけワポルに強烈な攻撃を与えた。
アスラが鍛えたおかげか、以前よりも鋭い攻撃となっている。
そこへサンジも現れ、ルフィを見て驚くチョッパーに化け物と笑って言う。
「麦わら〜! てめぇよくも俺様を殴りやがったな! チェス! 麓の町にいる海軍を呼べ! 世界政府加盟国を相手にしたことを後悔させてやれ」
「はっ!」
それをこっそりとついてきたアスラが聞き、
「悪い、ドクトリーヌ! 金は後で払うから出てくる!」
「ちっ、あのガキ、安静にしているって言葉を知らないのかね」
空中を移動しながら山を下りて行った。
「ルフィ、どうやらこいつらの相手は俺たちがするみたいだぞ」
「うし、修行の成果をだそう!」
ルフィとサンジはワポルたち三人を前に堂々と立つ。
「鼻空想砲!」
ファーゴが放った攻撃は海軍たちが密集する場所で爆発を起こす。
「キャハハ! 月歩!」
リモーネは空中を移動しながら、
「一万キロ……プレス!」
攻撃し、再び空中に移動することを繰り返していた。
「くっ、落ち着け、冷静に対処しろ!」
「そんなことをさせると思ったか?」
「ぐっ……は、はなせ」
ファーゴは一人の海軍の首を掴み、そのまま、
「クラッシュ」
掴んでいる右腕に爆発を集中させ、掌から小規模の爆発を起こした。
「がっ…………」
『大佐!』
大佐と呼ばれた男は立ち上がることはなかった。
「貴様ぁ!」
周囲にいた海兵は一斉にファーゴへと襲い掛かる。
「所詮超人種だ! 大したことは――」
「ショック・ボム」
全身を爆発させ、周囲を巻き込んだ。
海兵たちは吹き飛ばされ、動かなくなった。
「キャハハ! やるじゃないファーゴ、負けられないわね、一万キロ……」
空中で縦回転をするリモーネはそのまま一人の海兵へと向かっていく。
「ハンマー!」
強烈なかかと落としが頭に入り、海兵は地面へとめり込んでいった。
「監獄弾を使え! 絶対に捉えろ!」
「フィドルバンフ!」
「ぐあ!」
「貴様、ドルトン! 海軍に楯突くとどうなるか分かっているのか!」
「承知の上、だが、貴様ら海軍が国を捨てたゲスの言うことを聞いていることの方が気に食わん」
「捉えろ! こいつらは海軍に楯突く敵だ!」
「来い!」
ドルトン、ファーゴ、リモーネの三人は大立ち回りを演じ、海軍を押していった。
「いつまでやっている」
「オ、オニグモ中将!」
戦闘が行われている場所から少し離れた場所にオニグモが現れる。
「こんな奴らに時間を取られるな。わざわざ、本部の帰りに協力しているんださっさと終わらせるぞ」
「は、はっ! し、しかし、魔槍の仲間と言う奴らがおりまして……」
「何?」
オニグモの表情は一気に強張った。
そして、ファーゴたちの下へとすぐさま向かった。
「ふん!」
背からクモの手を生やし、ファーゴへと切りかかる。
「ちっ、海軍の中将か、覇気を使うみたいだな」
「……魔槍はどこだ」
「答える義理はねぇ」
「死にたいらしいな」
「生憎、海軍と仲良しになるつもりはねぇ」
「ならば死ね! 剃」
素早い移動でファーゴの視界から消えた。
「ちっ、ど――」
次の瞬間には左腹部を切られていた。
「ぐっ……」
「海賊はすべて消す」
「一万キロプレス!」
「紙絵」
オニグモは空中からの攻撃を回避し、複数の剣で切りかかる。
しかし、リモーネが切られることはなかった。
咄嗟に閉じてしまった目を開いたリモーネは、目の前にいる。赤い槍を持った今回病気で倒れた自身たちが所属する船長の姿だった。
「よぉ、やっぱりまだ中将と戦えるほどじゃないか、まぁそこはおいおい鍛えていこうか」
「アスラ!」
「魔槍っ!」
「ずいぶん久しい顔だなクモ野郎、俺にやられたところは平気か?」
「貴様を殺すために俺はこの数年間必死に鍛えていた。次こそは殺せるようにな!」
「残念だが、それは無理だ。俺はこんなところで死ぬ気はない。ああ、ドルトン、協力ありがとうな、おかげで助かった。でもいいのか? こんなことしたら……」
「覚悟の上だ」
「そっか……なら、俺もそれに見合う誠意を見せなきゃな」
オニグモの攻撃をかわしながら話していたが、ようやく本人を見た。
「死ね!」
「お断りだ。剃!」
「所詮三式どまりの貴様の技な――」
「遅せぇよ」
「ごはっ!」
オニグモの心臓にアスラの赤い槍が深々と刺さっていた。
「あんなモン全部得る必要はねぇさ、たった一つでも誰にも負けないぐらいの武器にすればその時点で超人だ」
「オ、オニグモ中将がやられたぞ!」
「海軍ども! よく聞け、ここは俺のシマだ。無闇にここに近づいてみろ。貴様らに明日はない」
「た、退却!」
動ける海兵は全員負傷した者たちを連れて逃げて行った。
「こ、ここをシマにするとは?」
「その名の通りだ。どうせ今回の件でこの国は加盟国から除籍される。そうしたら海軍だけじゃなく海賊からの横行が激しくなる。だったら誰か強い影響力のある人間が後ろについていればいいと思わないか?」
「数年前の東の海での宣言は本物だったというわけか」
「まぁな」
「ならばわれらに断る必要はないな」
「それに今回の件でおそらくだがドルトンに何かしらの影響が出る。最悪賞金が付く」
「むぅ」
「いくら俺が背後にいるとしてもだ。やはり限界はある。そこで提案なんだがドルトン、俺たちと少しの間旅をしないか?」
「何?」
「俺たちと共に旅をして自身の顔を売っておけばそれ何に影響力はでるし海軍もちょっとやそっと手は出せない。それに打算的なやつなら七武海の候補にしてもいいんじゃないかと考える奴が出るはずだ。もしそうなった場合はその案に乗るべきだろ?」
「それによって私がこの国にいられる理由ができるという訳か」
「加盟国ではないが、海軍から敵視されない立場に戻れるって訳だ。俺から言わせればワポルがいない間に加盟国から除籍されなかっただけ奇跡だと思うぞ」
「…………分かった。その案乗らせてもらう」
「交渉成立だな。よろしく頼むぜ」
「よろしく頼む船長」
「アスラでいい。気軽に行こうぜ」
アスラとドルトンは握手をする。
「さて、まずはドクトリーヌに渡す報酬を得なきゃな、海軍とかワポルの船から盗むか、ナミ、悪いがファーゴの治療を頼む。リモーネ、ドルトン行こう。ビビ、できれば手伝ってくれ」
「わかったわ」
「キャハハ、了解、よろしくドルトン」
「ああ、よろしく頼む」
「今行くわ」
海軍の船には逃げられてしまったが、ワポルの船に積んであった財宝と食料を持って再びドクトリーヌの下へと向かう。
なお、この際に宝箱に入っていた悪魔の実を手に入れた。これは渡すわけには行かないと判断したアスラは先に自分の船へと置いておいた。
月歩が使えないドルトンや安静にしていないといけないアスラを考慮し、一本だけつながったロープから城へと登って行った。
三人が城へと到着した時にはすでに勝負はついており、ルフィたちの圧勝だった。
サンジはドクターストップにかかっていたが。
<あとがき>
どうも八咫です。
始めに書いたようにご都合主義が出てしまいました。すみません。
自分なりに解釈した場合こうなりました。
次回はチョッパーの部分を少し早送りで書いて別の部分をメインで書きたいと思っています。