小説『神のミスでONE PIECEに転生させられた男』
作者:八咫()

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『鉄の試練』






時は少しばかり遡る。

ゾロを先頭に立たせてのんびり歩くポーラとドルトンは無駄に成長したサウスバード

に出会う。そして腹を空かせていたサウスバードにゾロが弁当の中身を分けてしまっ

たのが運の尽きだった。

「おい! もう食うもんはねぇんだこれをはなせ!」

「ジョ〜! ジョ〜!」

「おい、よせてめぇ! 離せ!」

そしてサウスバードはカバンとゾロを持ったまま飛び立ってしまった。

「あらあら」

「追うとしようかポーラ」

二人は月歩で跳躍し後を追う。

その後サウスバードは高い位置を維持して飛行を続ける為、安全を考え攻撃するのは

控えた。

「ドルトン、あそこ」

ポーラが指さすところは、力強く伸びた木の途中に浮く遺跡群だった。

「なるほど、この高さで行くならばあそこで落とした方が安全だろうな」

二人は頷きあってサウスバードを誘導、落下位置を決め、攻撃した。


そして現在


「あー悲しい、また一つ、声が消えてしまう」

無事にゾロを落下させ、三人は遺跡群を見て回ると船を襲撃してきた集団と同じよう

な恰好をした者たちが倒れていた。

「何者だ」

ドルトンが警戒しながらも尋ねる。

「俺は神エネルに使える神官オーム、そしてこいつは愛犬のホーリー」

「わん!」

「ここは俺の領域、覚悟してもらうぞ鉄の試練!」

「オーム様! お手伝いしますぞ!」

『メ―!』

五人の神兵が雲の合間からやって来る。それに送れるように、

「ハァ、ハァ、ようやくここまで来たなワイパー」

「ああ、だがここは千客万来らしいぞカマキリ」

船を襲撃した者と同じ武器を持つ男と槍を持った男が現れた。

「賑やかになったものだ。ホーリー!」

オームが口笛を吹くとホーリーは周囲を囲むかのように走る。

「おお、これぞまさしく鉄の試練の真骨頂! 白荊デスマッチ!」

ドーム状になるように白いひもが囲む。

「これから逃れた者はいない。ここは生存率0%、鉄の試練」

オームが言いきると、

「メ―!! 覚悟しろワイパー!」

一人の神兵がワイパーに攻撃するが、回避され蹴り飛ばされる。神兵はドームの端ま

で吹き飛ばされ激突、すると体を傷つけられ出血し、壁に突き刺さったまま動かなか

った。

「あれは鉄雲で出来ている有刺鉄線だ。鉄の鞭!」

オームの攻撃はゾロへと向けられた。

「おわ! 伸びた!?」

「刀身に鉄雲を帯びらせることで伸ばすことができる。刀であるがゆえに斬撃を受け

るがな」

「なるほどビビにいい土産が出来そうだ」

「そうね、あの子は能力者じゃないから良い物を送ってあげなきゃね」

「おい! あいつは俺に攻撃を仕掛けたんだぞ、俺の獲物だ!」

ドルトンとポーラの話に割って入るゾロだったが、

「悪いがゾロ君、あいつは私が相手をさせてもらう」

牛の姿へと姿を変えオームへと駆ける。


オームVSドルトン


「くそ、なんだってんだ」

「いいじゃないあなたは少しまともな銃の子と戦ったじゃない」

「一撃でぶっ倒したんだ歯ごたえなか――うおっ!?」

横から槍の攻撃が飛んできてゾロはのけぞって回避する。

「てめぇ、ブラハムをやったってのか!」

「ああ? 名前なんて知るかよ」

「てめぇ、上等だ。お前から倒す!」

「楽しませてくれよ」


カマキリVSゾロ


「あらあら、じゃあ私は―――」

「俺が相手だ」

「あら、ダンスのお誘い?」

「船での借りを返す」

ワイパーはバズーカを構える。

「メ―! 覚悟しろ!」

二人の神兵がポーラの後方から現れるが、それと同時にワイパーもガスを充満させて

いた。

「バーンバズーカ!!」

「剃!」

ポーラは素早い移動で回避することは出来たが、後方にいた神兵たちは巻き込まれて

しまった。

「この女ァ! 喰らえ斬撃――」

「スティンガーポイント・ショルダー」

肩から棘を生やし、横から来た最後の神兵に突き刺した。

「さて、踊りましょ?」

「上等だ!」


ワイパーVSポーラ


「アスラと同じような力を使うのだな」

「修行者のみ体得が許される心網、貴様の動きは読めている」

「なるほど、見聞色か、だが我らが船長ほどではないな」

ドルトンは斧を構える。

「ほう、言うじゃないか、だが気を付けろこのエリアには罠が仕掛けられているから

な」

「そうか、ならば地上にいなければいい話だ。月歩」

ドルトンは空中移動し、オームに襲い掛かる。

「ホーリー!」

「ワン!」

「お手!」

「ワフ!」

「ちっ!」

オームに呼ばれてやって来たホーリーの攻撃を回避した途端。

「鉄の鞭!」

「ぐっ!」

斧で防ぎきれたものの、地面に着地してしまいなおかつ罠に当たり負傷した。

「なるほど侮れんな。ならば!」

ドルトンは横にステップを踏む。素早く動くせいか分身したかのように見える。

「ほう、なかなかやるな! ホーリー!」

「ワン!」

「フィドル・バンフ!」

「キャウ〜〜!」

ホーリーは回転しながら吹き飛ばされていった。

「次は貴様だ」

ドルトンは斧をオームへと向ける。

「面白い」




「バーンブレード!」

「うおおお!」

燃焼された火力の高い攻撃を刀で流しながらカマキリへと近づく。

「ぬっ!」

カマキリはバックステップし、改めて振りかぶる。

「うおおおお!」

「くそっ!」

ゾロもまたカマキリの攻撃の糸口が見えず苦戦していた。

「あと一歩早く懐に入れれば斬れるてのに」

「おらぁぁ!」

「ちっ、一刀流三十六煩悩鳳!」

「バーンブレード!」

「斬撃を切るか、畜生!」

「ブラハムを倒した報いを受けてもらうぞ!」

カマキリは攻撃距離を伸ばしてバーンブレードを振り回す。

「くそっ!」

ゾロは躱しながら熟考する。

(速く、斬れば問題ねぇとにかく速くだ! アスラの講義を受けとくべきだったな)

そしてゾロはカマキリの前に立つ。距離は約十メートルほどである。

「諦めたか?」

「いいや、諦めてねぇさ、ただ純粋に勝てる方法を思いついただけだ」

「この距離でどうにかできる訳ねぇだろ、バーン――」

「一刀流――」

刀一本だけ構えたかと思えばゾロはカマキリの視界からは消えていた。

「な――」

「――閃駆!」

「がはっ!」

ゾロはアスラたちが使う剃を使って斬っただけだったが、彼は一度も剃をつかえたた

めしがなかった。

「今度からはまじめに取り組むか」


カマキリVSゾロ

勝者 ゾロ


「バーンバスーカ!」

他の二人から少し離れた位置にいるワイパーとポーラはワイパーが一方的に離れた距

離から攻撃していた。

しかし、ポーラは追い詰められている訳でもない。

彼女は隙をついて棘で刺す。そして距離を置く。これを繰り返せば勝つことは造作な

かった。

「ちっ、ちまちまと」

「悪いわね、確実にしとめるわ」

「ちっ、バーン!」

「懲りないのね、剃、スティンガーナックル」

「ぐっ!!」

「貴方が何たいして必死なのかは分からない。でもこれだけは言えるわ、今ここで貴

方が無理をすることじゃないぐらいね」

「何」

「私たちの船長か刀を三本持ってる男の船長が必ず貴方たちを救うわ、それまで大人

しくしていなさい」

「ふざけるな!」

ワイパーはバズーカを怒声と共に放つ。

「貴様のような女に俺たちの苦しみが分かるのか!?」

「分かるわけないじゃない。でもね、いつまでも過去に縛られるのはやめなさい。つ

まらない生き方よ」

「黙れ!」

「少し寝てなさい。剃」

ポーラはバズーカを放とうとするワイパーに近づく。

「フィンガースライド!」

指を尖らせ、十本の指で体をひっかく。

「ぐっ!」

「スティンガーカット!」

足に短い棘をつくり回し蹴りの要領で頭に当て、吹き飛ばす。ワイパーは壁にぶつか

ったのちの気を失った。


ワイパーVSポーラ

勝者 ポーラ


「鉄の鞭!」

「それは見切った。フィドルバン――」

「鉄の堤防」

「ぐっ!」

刀が壁となってドルトンの勢いをそいだ。

「これは形に囚われんのだ。残念だったな」

「問題ない」

ドルトンは斧を落とし、両手でオームを掴む。

「何!?」

「私は未だに覇気は使えない。ならば多少体を張るぐらい造作もない」

「この!」

オームは斬りかかるがドルトンは離そうとしない。

空中へと飛び上がりオームの頭部を地面に向ける。ドルトンは拘束したままそのまま

共に落ちる。

「フィドル・プレス!」

頭部を中心に亀裂が走るほどの強い威力で叩きつけられたようでオームは動かなかっ

た。

「これはうちの船員の為にいただくぞ」

ドルトンはオームの刀を持ってその場から去った。


オームVSドルトン

勝者 ドルトン

戦利品 鉄雲入りの刀




そして場所は変わり、

「効くかぁぁぁぁ!!」

エネルは至近距離で雷をルフィに浴びせるがルフィには通用しなかった。

「……」

あまりの驚きで人生で初であろう顎が外れるほど口を開いたエネルは唖然とした。

「おめぇがなんだろうが知ったこっちゃねぇ、だけどいい機会だ。アスラのヒントか

ら得た技、使わせてもらうぞ。ギア2!」


<あとがき>

どうも八咫です。

まずは皆さんに謝罪をしなければなりません。

以前アンケートで『ヒロインみたいなポジション』を決めるアンケートを取りました

が、八咫は『パートナー』と書いたので一人、多くて二人かと思えば多くの女性キャ

ラを書いてくださる方が多くいました。

始めはそれで考えようとしましたが、やはりこの作品では恋愛まではいかないけれど

相棒のようなキャラとして書きたいので一人に絞りたいと思います。

こちらの不手際でご迷惑をおかけしました。

今後ともよろしくお願いします。

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