小説『神のミスでONE PIECEに転生させられた男』
作者:八咫()

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『うっかり温泉』






「船長、穴が開いている島が見えた」

「ん? どこだ?」

マクシムで降下していた一行は訓練しながらのんびりとした航海をしていた。

「数キロ先だ」

「いやお前しか見えねぇよ」

オーガ―の視力によってもたらされた情報にアスラは、

「まぁ、面白そうだな行くか、ちょっとした寄り道だ」

一行は進路を変えて穴が開いている島へと移動する。





「すげぇ穴の数だな」

アスラは一つの穴を覗きながら言う。

するとアスラが覗いている穴から轟音が響く。

「ん? なんだ?」

訝しんでいると穴の中から水が噴き出してきた。

「あっち―――!!」

顔面に浴びてしまったアスラは地面にのたうちまわる。

「だ、大丈夫!? アスラさん」

「クエクエ!?」

ビビとカルーは不安そうに近寄るが、他の者たちは、

「これは湯だな」

「しかし、いきなり吹き出すとは思えん」

「興味深い、さっそく新鮮な体験だ」

「船長が湯を浴びるのも運命……」

ファーゴをはじめとした男たちは吹き出している温泉の方に興味があるようだった。

「少しは心配しろよ!」

怒鳴るアスラだったが、

「キャハハハ、アスラがその程度でどうにかなるわけないと分かってるからよ」

「フフフ、それにしてもこれは温泉かしら?」

興味深そうに見ていると噴き出している湯の脇から巨大なモグラを従えている男二人

が現れた。

「ん? ゲダツじゃないかこんなところにいたのか」

「ゴッ、神!? なぜここに!?」

男のうち一人が空島で神官をしていたゲダツであった。

「もしかしてゴローおじさん!?」

「ん? …………ビビ様?」

「お久しぶりです!」

「おお、お久しぶりでございます、お綺麗になられて」

「ところでビビその人は?」

「ずいぶん親しそうな仲ね」

もう一人の男と親しく話すビビを見てリモーネとポーラが尋ねた。

「あ、この人はトトおじさんの弟さんなの、て言ってもトトおじさんが誰なのかも分

からないわよね」

「キャハハ、でもアラバスタの人と言うことは分かったわ」

「楽しいところ悪いんだが、後ろのモグラはなんだ?」

「土番長だ」

『は?』

ゲダツの答えに一同は唖然となるが、温泉を掘っていたらうっかり寝ていたところを

起こしてしまったらしく、そのまま撃退する流れになったとか、そのまま下部にして

穴を掘っていたところアスラたちがやって来たと言うわけであった。

「温泉は俺の夢でな、国を飛び出してこんなところで温泉を掘ってるわけさ」

「なるほど、うし、何かの縁だ手伝おう」

アスラの決定に嬉しそうな表情を浮かべるビビ、そして一行が手伝いの準備をしてい

ると森から大きな猿が現れた。

「……森番長か」

「いやなんで?」

ゲダツの呟きにアスラは突っ込んでしまうが、ゲダツはそれを無視して森番長と相対

した。そして、

「ジェットパンチ!!」

森番長の顔面を殴り飛ばした。

「いや、倒してどうすんだよ」

「は!」うっかり!

その後大工仕事が出来るという森番長とアスラたちに島を任せたゴローとゲダツは一

緒に行きたがるビビと色々なことに関心があるエネルが同乗、土番長の改造ヘルメッ

トの中に入り、再び土の中へ入る。





「さて、俺たちは吹き出してる温泉をとりあえず――」

「ウキ?」

アスラが振り返ると森番長とその子分がすでに木材を駆使して旅館の形を作り上げて

いた。

「はやっ!?」

素で驚くアスラだったが、

「あれ、もしかして手伝い要らない?」

「ウキ、ウキキ」

「トンネル整備を手伝ってほしい? ああ、あの穴がどこかに通じたら客を呼び込ま

なきゃいけないもんな」

森番長の指示でアスラたちはさっそく準備を始めた。

「そういえば………………ゲダツよく一万メートルから落ちて無事だったな。うっか

りで済まされることじゃないしな」

とアスラはつぶやいた。





掘って進む土番長が出たのはアラバスタ王国首都アルバーナの時計塔のある広場に出

た。

「ここは……」

外に出たビビが周囲を見回すと、

「ビビ?」

「リーダー!」

スコップを片手に歩いていたコーザがいた。

「何をしているんだ?」

「あっ、それがね温泉を掘ってたの」

「は?」

何を言っているか分からないコーザだったが、次々とヘルメットから降りるとその中

からゴローが出てくると

「ゴローおじさん」

「コーザか、久しいな」

「何してるんだよ、というかそのモグラは?」

騒ぎを聞きつけたトトも現れ、ビビとの再会や弟のゴローが現れて大喜びだった。

その後温泉視察ということでコーザとトトが土番長に乗り再び戻った。

人数の関係がありエネルは雷で移動することになり、ビビはトレーニングになるとし

て穴の中を走った。






「アスラさん、今もど、り……」

穴から出たビビはアスラたちに声をかけようとするが、どんどんしぼんでいく。

「いやーいい汗かいた」

「まったくだ」

「ふふ、こうして飲む茶も悪くない」

「キャハハ、汗かいちゃったわ、早く温泉に入りたいわ」

「ダメよ、ゴローが帰ってこないと、彼が一番風呂に入るべきなんだから」

「こうした交流も巡りあわせか」

「ウキキ!」

アスラたちは入口の前で座り込み茶を飲んでいた。

後方には立派な入口がそびえたっていた。

「何してるの―――!!?」

「おっおかえりビビ、いやーこいつらと意気投合しちゃってよ、そこのトンネル整備

が終わったから一緒に内装とかやってたらこうなった」

「やりすぎよ!」

「ぐえ!」

顔面を殴られるアスラだったがケロッとして立ち上がる。

「んじゃ、ゴローさん入ってくれ、あんたの夢だろ」

「ああ、すまんな」

「気にすんな、俺たちは少し野暮用がある」

「?」

首をかしげていたゴローたちだったが、アスラたちが入れと言うのでトトとコーザと

共に中へと入っていた。

「何かあったのアスラさん」

「見ろ」

ビビはアスラが指を指す方向へと目を向けると三隻の軍艦がいた。

「海軍!?」

「どうやらマクシムを見た海軍がおって来たみたいだぞ」

「どうする船長」

「オーガ―殺さない程度に狙撃しておけ」

「了解」

「エネル、マクシムの準備を」

「分かった」

アスラの指示で二人は素早く動き出す。

「カルー」

「クエ!」

ビシッと敬礼するカルーはアスラの指示を待つ。

「お前は軍艦の周りに霧を発生させろ。相手を惑わせるだけでいい」

「クエー!」

カルーは叫んだあと霧となって姿を消した。

そこへゲダツがアスラの肩を掴む。

「ん? どうした?」

「んんん、んんんーんん!」

「下唇噛んでるぞ」

「はっ!」うっかり!

「んでどうした?」

「俺も手伝おう」

「いいのか? んじゃ乗れ」

アスラたちはマクシムに乗り軍艦の上空まで移動した。

「しかし、上からの奇襲なんて海軍想定しているのかね?」

『いや、してないだろ』

アスラの疑問に全員が答える。

「まぁそれはいいとしてだ。いくぞ、さっさと温泉に入ろう」

『おう!』

全員マクシムから降り、一気に軍艦三隻を奇襲する。

「ガンアクション・テンペスト!」

「フィドル・ブレイク!」

「斬撃貝からのブレス・ボム!」

「キャハハ! 一万キロプレス」

「スティッキー・フレイル!」

「エル・トール!」

「クエー!」

「これも巡りあわせだ」

それぞれが得意なまたは新たな戦闘方法を駆使し、撃退していく。

「いくぞゲダツ」

「んんん!」

「下唇」

「はっ!」うっかり!

「軍神五兵――スピア……」

「ジェットパンチ……」

「「スクリュー!!」」

螺旋の回転を起こした二つの攻撃は軍艦をいとも容易く破壊した。

数分で三隻の軍艦は藻屑と消えた。





「いやー良い湯だ」

「運動後は格別だな」

アスラたちはのんびりと温泉に浸かっていた。

「さて、今後の予定だが……どうする?」

「お前が決めろよ、船長だろ」

「んーまぁいろいろ寄りたいんだが、マクシムの改造をお願いしたいし……」

手を顎につけながら考える。

「まぁなんとかなるだろ」

「はぁ……」

ファーゴはため息をつく。

「ハハハ、まぁこれがわれらの船長だエネル」

「ヤハハハ、呑気なものだ」

ドルトンとエネルは酒を飲みながらアスラのことを話す。

「さて、そろそろ行こうか」

「ゲダツ、お前も来るか?」

エネルがゲダツに声をかける。

「……」

悩んだ表情をするゲダツだったが、

「いけゲダツ」

ゴローがそう言った。

「ゴロー」

「俺の念願は叶った。今度はお前が何か夢を探して叶えてみる番じゃないか?」

「…………世話になった」

「ああ、とっとと行け」






「さて、ゴローさん念の為にこれをやる」

「これは?」

「ここは俺のシマだぞ、という印さ、でも税をとるとかそういうことはしない。ただ

海軍の牽制に浸かってくれ」

「ありがとうよ」

「気にしなさんな」





「お前たち、あとは頼んだぞ」

「モグ!」

「ウキ!」

ゲダツの言葉に土番長と森番長は敬礼して答えた。

「さらばだ」

船に乗ったゲダツは改めて名前を名乗った。

「元神官ゲダツだ」

腕をすかすかさせながら名前を名乗る。

「おい、ゲダツ腕を組めてないぞ」

「はっ!」うっかり!



「うし、新しい仲間も入ったことだし行くとしますか」

「ゲダツ!!」

船の外からゴローの声が聞こえた。

「ありがとう! お前に会えてよかった!」

「……ああ、俺もだ」



この日新たな仲間ゲダツを加えアスラたち一行は空を移動する。

そして同じころ海に流したドフラミンゴの船が海軍に発見された。

そして空飛ぶ船を持つアスラたちに世界政府は警戒心を強め、一部嘘を交えながら世

界中に報道した。



『魔槍のアスラ空飛ぶ船に乗る!!』

と書かれた見出しと共に、

『王下七武海の一人ドフラミンゴ氏が魔槍に敗北、重傷を負った模様』

と情報を操作して流した。

『世界政府は魔槍の一味全員を要注意対象として警戒を強めている』

そして手配書も一緒に入っており、そこには、


魔槍のアスラ

懸賞金九億五千万ベリー


爆死のファーゴ

懸賞金九千二百万ベリー


浮き石のリモーネ

懸賞金九千万ベリー


闘牛のドルトン

懸賞金九千九百万ベリー


反逆王女ネフェルタリ・ビビ

懸賞金八千五百万ベリー


串刺しのポーラ

懸賞金八千九百万ベリー


DEADorALIVE


またカルーたちも温泉島から生きて帰れた者によって報告されたが、カルーは霧であ

ったため手配書に報告されず、されたのはエネルとゲダツであった。


雷人エネル

懸賞金六千万ベリー


剛拳のゲダツ

懸賞金五千五百万ベリー



カルーは落ち込んでおり、オーガ―は「巡りあわせ」と言っていた。


一行は赴くままに進む。


<あとがき>

どうも八咫です。

今回はオリジナルのうっかり温泉編でした。これでアスラたちの仲間は十人になりま

した。

次回はオヤビンに出てもらおうかなと思っています。

あとオリジナル要素でみんなのかませを再び呼ぼうかなと思っています。



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