小説『神のミスでONE PIECEに転生させられた男』
作者:八咫()

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『アスラVSカリファ』






「しなる指銃・鞭」

「紙絵」

「くっ、嵐脚」

「月歩」

仮面をかぶったカリファは先ほどから攻勢に出ているが一度も攻撃が当たらない。

「なぁ一つ聞いていいか?」

「何でしょう」

「どうして一人で来た?」

「白々しい。私の仲間に監視をつけているでしょう」

「あらら、ばれたか」

アスラは外出する際、エネルに職長のルッチとカクを監視しておくように伝えておい

たのである。エネルは理由を聞かなかったが、ただ頷いていた。

「自由に動けたのは私ぐらいでしょう」

「酒場の人も仲間じゃないのか?」

「何のことでしょう」

「とぼけなくてもいいさ、分かってる」

「……今彼に動いてもらう訳にはいかないのです。こちらからも一つお聞きしたいの

ですが」

「ん?」

「なぜ私がCP9だと?」

「ん〜(原作で読みましたは通用しないし……)覇気って分かる?」

「ええ、多少知識としては」

「俺は見聞色の覇気が使えるんだけどさ、それであんたの心を読み取った。あんたは

俺たちがやって来たとき焦っただろ?」

「お見通しというわけですか」

「まぁな」

「ですが、私も負けるわけにはいかない!」

「頑張るね〜」

「はっ!」

「はは、当たらないよ」

余裕を見せるアスラだったが、

「ですが、それは貴方のも言えるのでは?」

「ん?」

「先ほどから貴方は一向に攻撃してこない。しても的外れな攻撃しかしてこない」

「……」

カリファの指摘に無言になる。

「数年前、貴方は以前女性海兵だけ倒さなかったことがあるそうですね」

「……」

「私が思うに貴方は女と戦うことに抵抗があるのでは?」

「どうだろうな!」

アスラは両手の鉄球を投げる。

「紙絵」

カリファは体を柔らかくして回避した。

「嵐脚」

そこからアスラに向けて蹴りの斬撃を飛ばしてきた。

「月歩」

「逃がしませんよ。指銃」

「紙絵」

「しなる指銃・鞭」

「ぐっ!」

回避することが出来たが、二度目の攻撃は回避することは出来なかった。

「上手く急所は外しましたね」

アスラの左肩から血が流れる。

「やれやれ、舐めてたよ、少し本気で行こうか」

「構いませんよ」

「ところでそこから回避した方がいい。脊椎を痛めたくなければな」

「何?」

カリファの後方で回転音が聞こえる。

「はっ!? 先ほどの!? くっ、鉄塊!」

後方から迫っていた鉄球は跳ね上がり、カリファを狙う。ギリギリのところで防ぐこ

とは出来たが、

(鉄塊が揺らいだ。なんて衝撃)

「ガードなんて無意味だ。回転は内側を襲うからな。とはいえまだ慣れてないからそ

うならないんだがな」

「くっ、嵐脚・線」

「剃」

背後へと回ったアスラは鉄球を回収し、至近距離から投げる。

「少し痛いぞ!」

「紙絵」

「ちっ!」

「嵐脚」

「紙絵・彷徨」

「貴方考案の紙絵ですか」

「ああ、三式だけ極めてたからな」

「六式すべてを使いこなせてこそ超人ですよ」

「生憎だが、一式でも誰よりも優れてればその時点で超人だ」

「戯言を、らんきゃ――っ!?」

カリファは自分の体が動かないことに気が付いた。そしていつの間にか膝をついてい

ることにも。

「なにがっ!?」

驚くカリファにアスラはゆっくりと近づく。

「さっき投げた鉄球がお前の背についてる。それがお前の体を操ってる。痛みもなく

な。これが回転の神髄さ」

「くっ、私は……こんなところで!」

「なぁ、俺と一緒に来ないか?」

「なっ!? 何を言っている。私は政府の機関CP9の一員、海賊風情の仲間になる

くらいなら死んだ方がましよ!」

「そんな人生楽しいか? 俺はやだね」

「貴方が私の人生を決める訳じゃないでしょう」

「そうだよ。だからあんたに決めてもらう。俺と一緒に行くってことをな」

「ふざけないで!」

「俺は海賊だけど、基本相手から何かしない限り俺は何もしない。まぁあんたらから

すれば海賊ってだけで罪なんだろうけど、でもさ、それじゃ疲れるじゃん。白ひげみ

たいに街の人たちには手を出さない人もいるしさ」

「海賊は悪、海軍は正義、それで十分よ」

「海軍にだって悪政していた奴だっているんだぜ? それに天竜人のすることを見な

いことにしている海軍が正義を語るなんて反吐が出る」

「貴方は、強いからそんなことが言えるのよ!」

「……」

「世の中、そんな人たちばかりじゃない! 今もどこかで涙を流す人がいるのよ」

「なら、俺の正義を見せてやる」

「えっ?」

「俺と来いカリファ、お前に新たな価値観を見せてやる」

「なんで……そこまで」

「俺は面白い奴が欲しい。お前は面白い。幼いころから教えられたことしか見ていな
い城の中のお姫様みたいにな。だから、俺がそれをぶっ壊してやろうと思ってな」

アスラはカリファの顎を右手で抑える。

「それに美女を仲間にできるのは素直にうれしいことだしな」

「わ、私は……」

「はぁ、分かった。なら俺は秘書としてお前が欲しい。どうだ?」

「秘書?」

「そ、秘書、もう海賊かどうか怪しい所だが、それも面白いだろ?」

「……」

「まぁ考えといてよ」

アスラはカリファの背中から回転していた鉄球を取り、その場を去ろうとしたが、

「ん? ありゃ……ちょうどいい」

波打ち際に見えた物を取り、カリファに渡す。

「これは……悪魔の実?」

「やる」

「なっ!? 敵の私に」

「これを食べて俺を倒しに来るのもよし、そのまま俺に突き返すのもよし、好きにしてくれ、じゃ」

今度こそアスラはその場から去った。

「私は……」

波の音だけが辺りに響く。



<あとがき>

どうも八咫です。

アスラが初めて真剣に女性を口説いた44ページをお送りしました。

手に入れた悪魔の実はアワアワではありませんオリジナルで行きたいと思います。

-44-
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