小説『神のミスでONE PIECEに転生させられた男』
作者:八咫()

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『アクアラグナを越えて』




アスラと合流する数分前


「剃」

カリファ瞬時にリモーネに近づき、

「指銃」

を繰り出す。

「紙絵」

が、リモーネはひらりと回避し、そのままかかと落としを繰り出す。

「紙絵」

カリファも同じく紙絵で回避する。

「キャハハハハ、さすがに六式となると苦戦するわね」

「ご冗談を、私よりお上手ですよ紙絵は」

「三式はアスラから極めるように言われてるから」

「六式全て覚えてこその超人ですよ、嵐脚」

「月歩、キャハハ! アスラはそう思ってないわ。彼は一つでも誰よりも優れている

と言える物があるならばすでに超人だってね。それに彼やろうとすれば残りの三式も

覚えられるのよ? でも面倒だし他の仲間が支えてくれるからそれでいいって言うの

よ。だから、六式を覚えた程度で浮かれているあなたたちに負けるわけにはいかない

のよ」

床に着地したリモーネは強い眼光でカリファを睨む。

「私たちの努力を否定するな!」

カリファは連続で嵐脚を繰り出す。

「私たちが一体どれだけ辛い思いをして六式を習得したか貴女には分からないでしょ

う!」

「興味ないわ、過去なんて」

「くっ、嵐脚・雨」

空中から地面に向けてカリファは小さな斬撃を大量に飛ばしてくる。

「紙絵、月歩」

回避しながら、カリファのいる場所まで月歩で進む。

「同時に使うなんて!?」

「アスラの稽古は厳しいのよ、三千キロ・スイング!」

左足を大きく振りかぶりカリファを蹴りかかる。

「紙絵」

ぺラッと避けるが、

「三千キロ・ラッシュ」

右足を連続で蹴り出す。これにはカリファも耐えきれず、数回当たってしまう。

「私はアスラと出会うまで犯罪組織の人間だった。知ってるでしょ?」

「ええ……」

「ウイスキーピークでアスラと出会い、私は恐れた。でも彼は私を仲間にした。そし

てアスラはすごかった。海賊らしいこともあまりしないし、逆に正義感ぶって何か言

い出すし、思い出すだけで色々あるわ」

「それがなんだっていうんです?」

「アスラと海に出て自由ってこういうことを言うのかなって、別に夢があるわけじゃ

ないのよ、でもアスラといると、みんなといる船は楽しくてしょうがないのよ」

「それがなんだっていうんですか!!」

カリファは怒りにまかせて嵐脚を放つ。

「規則に縛られて、上の命令に従っている人生は楽しい?」

「うるさい!!」

「私たちにも一応船長命令はあるわ、けど、どうしょうもない物が多いのよね、この

前なんか「うるさい!」なによ」

「海賊は悪、それだけよ!!」

「そういう奴らに限って身内に悪い奴がいるのよね」

「いい加減に死ね!」

「無理よ、剃」

「うっ!」

リモーネは瞬時に背後を取り、そのままカリファにのしかかる。そして起き上がれな

い程度の重さに体を調整する。

「殺しなさい」

「嫌よ、アスラが珍しくまともな命令をしたんだもの」

「敗者に道はないわ」

「道ならあるわ、私たちと共に来るって言うね」

「……」

「負けちゃったんだし、用済みになるでしょ? なら来なさいよ、女性が入るのは嬉

しいわ」

「……貴女の船長に秘書として来ないかと言われました」

「ぷっ、キャハハハハハハハハ!!! 戦闘力の高い秘書を乗せる海賊なんて、うち

ぐらいでしょうね、キャハハ、あーアスラの面白い理由はこれか、うん、大歓迎よ、

じゃあ行きましょ、みんなに挨拶しましょ」

「いえ、それが……」

カリファは海軍やエニエスロビーからやって来た他のCP9のメンバーがここに来てい

ると計画内容を話した。

「それを話すということは」

「……正直、これでいいのか分かりませんが」

「いいのよ、だって楽しくなきゃ」

「ああ、そういえばアスラさんから悪魔の実を貰いました」

「また拾ったのね……」

「また? ということは過去にも?」

「ええ、それをあなたに託したってことは食べてもいいってことね、けじめを込めて

食べたら?」

「……そうします、はむ……まずい!!」

「そりゃ、悪魔の実だし」

一口噛んだ瞬間カリファは吐き出した。

リモーネは懐かしそうにそれを見ている。

「さて、そろそろ、行きましょ、アスラを探さないと」

「了解しました」

カリファは眼鏡を手で上げるしぐさをして、二人は部屋から出ていく。







三人対大勢の海軍だと勝利は間違いなく海軍に下される。というのが普通だが、三人

の方が普通じゃない連中だった場合話が変わる。

「助けてぇぇぇぇ!!」

「こらー!! 逃げるな! 戦え!」

「大佐!! もう戦える兵が……」

「ええい、たった三人にっ!!」

「悪いな」

アスラは瞬時に大佐と呼ばれた男に近づき攻撃する。

「ぐはっ!」

「大佐ー!!」

数分後、大量にいた海兵たちは倒れ、立っていたのは三人だけだった。

「さて、仲間を取り戻さなきゃな」

「しかし、もうすぐアクアラグナがやって来ますが」

「さすがに厳しいんじゃない? マクシムは動かせないし」

思考していると、「アクアラグナが来るぞ――!!」という声が聞こえた。

「来たようですね。例年よりはるかに巨大な高波ですね」

「面倒な、リモーネとカリファは高い所に避難していろ、ちょっとストレス発散して

くる」

「了解」

「えっ、無茶です! あの波をどうにかしようなんて!」

「いいから、ここはアスラに任せときなさい」

リモーネが止めようとするカリファを抑える。

アスラは剃刀で干上がっている地面に着地する。

「軍神五兵――幻鏡」

アスラの隣にもう一人アスラが現れる。

『一点集中――砲突き・覇国!!』

二人のアスラはまったく同じ動きでアクアラグナに槍を向ける。

すると高波の一部から穴が広がって行きだんだんと大きな穴へと変化していった。

高波としての勢いを殺され、ウォーターセブンに直撃するはずだった波は消えた。

「…………リモーネさん」

「何?」

「本当に化け物ですね」

「でしょ?」






その後避難していたルフィたちと合流、落ちていたダイヤル入りの刀を拾ってくれて

いたようでアスラは受け取る。

「ロビンが捕まっちまった。アスラ協力してくれねぇか」

「こっちもだいぶ仲間を捕まえられちまった。協力するのは当然だな」

「問題はどうやって行くかね」

ナミが頭を悩ませている。

「おい、カリファ、どうして海賊たちなんかと」

そこへパウリ―が現れる。

「ルッチとカクを知らねぇか? それと酒場のブルーノもだ。姿が見えないんだ」

「パウリ―……その実は」

カリファはすべてを話した。

パウリ―の表情は唖然としたものから信じられないと言った顔になり、そして憤慨し

ていた。

「じゃあてめぇらはアイスバーグさんの命を狙ってたのか!?」

「場合によっては」

「てめぇ!!」

「やめろ」

アスラはエネルが落としていった棒をパウリ―に向ける。

「今は俺の仲間だ。攻撃するなら俺の敵と判断するが?」

「ちっ」

「ンマー、落ち着けパウリ―」

「アイスバーグさん!!?」

「それだけ海軍は俺の持っている物が欲しいんだろうが、俺は生憎持っていない。そ

れとカリファ、秘書はやめるってことでいいのか?」

「はい、申し訳ありません」

「ンマー気にするな」

頭を下げるカリファに対して怒っていないアイスバーグは、

「ついてこい、命の保証は出来ないが、もう一つだけ海列車がある」






アイスバーグの案内でやって来たアスラたちはヘッドの部分がなぜかサメのような塗

装がされている海列車があった。

「こいつはロケットマン、今の海列車より前に作られた手の付けられない失敗作だ」

「十分だ。ありがとう」

アスラは礼を言って乗ると、

「んがが、なんらい?」

酒ビンを片手に持った女性がいた。

「怪獣?」

「もっとまともな言葉を選びな!!」

「ンマー、少し待て、整備しなきゃならん」

「早く頼むぞアイスのおっさん!」

「手伝いますよアイスバーグさん」

パウリ―、ルル、タイルストンが現れ、共に整備を手伝った。

時間を思いのほか縮めることが出来て、すぐさま出ようとしたが、

「待ってくれ!」

そこへフランキー一家が現れた。

「お前ら……」

「恥を承知で頼む! アニキが、フランキーのアニキが連れて行かれたんだ! 追い

かけてぇけどアクアラグナを越えられねぇんだ!」

「あんたら、自分たちが何をしたのか分かってんの!?」

「頼む……アニキのためなら命だっていらねぇ!!」

「乗れ!」

ルフィはそれだけ言った。

「ちょっとルフィ!!」

「いいじゃねぇか……ナミ」

「ウソップ!? あんたあいつらに!!」

「あいつ等だって望む物があったんだ。二億なんて金があれば……奪いたくもなるじ

ゃなぇか」

「あんた、バカじゃないの?」

「ほっとけ」

「恩に着る!! 俺たちはキングブルで海に出る。あとで合流しましょう」

「分かった急げよ」

「了解」

「わりぃなアスラ、勝手に決めちまって」

「いいよ、お前たちの問題だしさ、お前が決めたならそれでいいんじゃないの」

アスラはゾロやサンジ、ウソップ、ナミ、チョッパーを見る。

「まぁ、何はどうなろうと自己責任だろ。こっからは命がけだ」

「ああ、そうだな」

「んががが、早く出るよ」

それを合図に全員船へと乗った。パウリ―たちも乗り込み海へと飛び出した。

海へ出るとフランキー一家専用ブル、最上位のヤガラが二頭現れ、ロケットマンの最

後尾に連結砲を撃ちこみついてきた。





「さて、ずいぶんにぎやかだな」

狭い室内に大勢でいる為、暑苦しい。

「こっからは同士だ。いざこざはこの際忘れよう。今は目の前の問題に取り掛かると

しようか」

『おう!!』

「んがががが! さぁこの波をどうにかしてみな!」

さきほどアスラが消し飛ばした波よりも高いアクアラグナが迫っていた。

「撃て撃て!! 活路を開け!!」

しかし、穴など開く様子を見せなかった。

「なるほど……やはりアスラさんは化け物ですね」

「キャハハ、分かって来たじゃない」

「本人を前にして言うんじゃない」

そういいながらアスラは屋根へと上って行った。

「手伝うぜルフィ、ゾロ」

屋根ではルフィとゾロが攻撃する準備をしていた。

「おっサンキュー、助かるぞ」

「合わせていくか」

「砲撃を休めるな!! いくぞ」

「ゴムゴムの……」

「三百煩悩」

「軍神五兵――」

「ぶつかる――!」

「死んじまう!」

フランキー一家たちの叫び声の中三人は一点を見えていた。

『攻城砲!!』

ゴォ!!

そんな音とともに波に穴が開いた。

フランキー一家、ガレーラの職人たちは唖然とした表情だった。

「さて、このままいくとしようか!!」

『おおお!!』

目指すはエニエスロビー。世界政府の中枢。

最悪の海賊アスラが刻々と近づいてくる。

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