小説『神のミスでONE PIECEに転生させられた男』
作者:八咫()

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『新バスターコールVSフィオナ海賊団』







「阿修羅弌霧銀!」

「がっ……わしの、負けか……」

ゾロに斬られたカクは膝をついて倒れる。

「さて、約束通りお前は俺の中仲間になってもらうぜ」

「殺し屋を雇って何になるんじゃ?」

「俺は無駄にいい動きをする大工を雇いたいだけだが?」

「はっ、はは、そうか、なら世話になるとしようかの……しばらく眠らせてくれ」

カクはそれだけ言って気を失った。

「んじゃ、急ごう」

「アスラ、どうやら皆集まっているようだ」

「はぁ俺はずいぶんと苦戦してたみてぇだな」

「まぁ気にすんなって、俺たちもみんなと合流しよう。エネル、カクを連れて行って

くれ」





「はぁ、はぁ、はぁ……」

「諦めろ麦わら、貴様に勝ち目はない」

「嫌だ。俺は、ロビンを助けて、また旅に出るんだ!」

ルフィはボロボロになりながらもルッチへと走り出す。

「貴様の剃は中々だが、俺には敵わんな」

「やばい!」

ルッチの指銃が腹をかする。

「逃がさん」

「くっ、ゴムゴムの……JETガトリング!!」

「剃」

攻撃を回避したルッチは攻撃に転換した。

「指銃・斑」

「うっ!」

何とか致命傷を避けたルフィだったが、限界が近づいていた。

「もう終わりだな。バスターコールが発動している今、お前の仲間はおしまいだ。魔

槍たちはどうか分からんがな」

「俺の、仲間は……一人も、死なねぇ……」

「口だけは達者だな。だが、終わりだ! 最大輪――」

「っ! おおっ!」

「六・王・銃!!」

「負けるかぁぁ!!」

ルッチの最高の一撃を受ける瞬間、ルフィの威圧がルッチの攻撃力を落としていた。

「がっ……」

だが、強力であることには変わらずルフィは倒れてしまった。

「こいつ、まさか……覇王色の覇気を……危険な存在だ。今、殺さなくては」

ルッチは指を鋭くルフィの心臓に向ける。

「死ね、麦わら」

心臓に当たるかと思いきや、ルッチの指は空を切った。

「何!?」

「はぁ、はぁ」

「まだ動けたのか」

「今のは…………そうか、アスラが言ってた」


『いいかルフィ、自分が追い詰められるほど覇気は目覚める可能性が高い。本当なら

何年もかけて習得するべきなんだが、そうも言ってられないだろうしな』

『んじゃ、どうすんだ?』

『死にそうになるぐらい追い込まれた時、お前がどうしたいかで決まる』

『ん? どういう意味だ?』

『それは自分で見つけろ』


「見つけたぞ、アスラ」

「何をごちゃごちゃと、死ね麦わ――っ!?」

ルフィへと攻撃を仕掛けようとしたルッチだが、思いのほかダメージを受けていたよ

うで、膝をついていた。

「しまっ!」

「俺は、勝つ! 武装色――」


それは覇気を教えて間もない時にアスラが言った言葉。

『いいか、覇気には三つある。俺の使う見聞色、自然系にも攻撃できる武装色、そん

で相手を威圧する覇王色だ。ルフィたちは今後自然系と戦うと考えると武装色は覚え

ておかないと手痛いかな……腕を硬くしたりできるし、ゴムのお前でも物理的に痛い

と感じるだろうし』


「なに!?」

「――硬化! ゴムゴムの……JETガトリング!!」

手を黒く染め上げ、ギア2状態からルッチに対して連続で殴りつける。

「うおおおおおおお!!」

壁を突き破りルッチは飛ばされていった。

「俺の勝ちだ……」

ルフィはギア2を解除しその場に倒れこんでしまった。

だが、事態は待ってくれない。

海軍の軍艦はエニエスロビーを囲んでおり砲撃を開始していた。

「体が、動かねぇ……」

「やれやれ、困った同盟仲間だ」

「……アスラ、どうしてここに」

「お前だけ来ないまだ戦ってるって覇気で見てたしな」

アスラはルフィを担ぐ。

「わりぃ」

「いいよ、それより早く出ないとな」

「アスラ!!」

「どうした!」

ファーゴが焦った表情でやって来た。

「カポーティが奪った船が砲撃された!」

「ちっ、しょうがねぇ、前みたいに軍艦いただくか」

ルフィを担いだアスラとファーゴはためらいの橋に集まっているみんなの元へと向か

った。

「アスラさん!」

「お疲れさん。こうなったら軍艦を頂くしかないだろうな、オーガー、好きな船を選

べ、それにする」

「……本来ならば一番近くにある物をと考えるべきだが、我々の攻撃力を考えると一

番離れた軍艦を狙うべきだろう」

「なるほど、んじゃ、今司法の塔の左側から出てきたあれを頂く。それ以外は破壊す

る。麦わら一味の面々もそれでいいな?」

『おう!』

「んじゃ、始めよう。エネル」

「ヤハハハハ! 任せておけ! 一億ボルト雷槍!」

エネルの掛け声で巨大な雷が空から軍艦へと槍の形をしながら降ってくる。

反応がいい者は逃げ出すことに成功するが、オーガ―がそれを見逃すはずもなく。撃

ち落とされる。

「三隻沈めたか、まぁいいだろう。カポーティ」

「おうよ!」

カポーティは元気よく答えると海へと飛び込む。

船底に近づき攻撃を始める。

「魚人空手フィオナ流・砕拳」

船底にある竜骨を中心に砕いていき、船は沈んでいく。逃げ遅れた海兵は海の中でカ

ポーティに追撃され、脱出しようにもオーガ―とウソップの狙撃がそれを許しはしな

かった。


「カポーティから剣を貰ったが、どうにもしっくりこないな……ビビ、この剣を使っ

てみるか?」

「いいの?」

「ああ、私は斧がしっくりくる」

ドルトンは剣をビビに手渡す。

「じゃ、遠慮なく、よろしくね」

「パオー!」

「きゃっ!」

「言うことを聞かないか……なら、力づくで従えるしかないな」

「待ってドルトンさん、私がやるわ、ドルトンさんは軍艦の確保に」

「……分かった」

ドルトンはアスラが指名した軍艦へと移動した。


無事に橋へとやって来た海兵たちだが、ファーゴをはじめとするフィオナ海賊団の前

にあっけなくやられていく。

能力者となったカリファの能力で攻撃を受けて睡魔に襲われ、海に落とされたり、空

中で攻撃を受け、そのまま落下したりなど、カリファの能力は案外厄介だった。

ゾロの刀を錆にしたシュウも直後にカリファの嵐脚を受けて意識が混同し、その隙に

海へと落とされてしまった。


「こまったね〜」

「オジキ! 何呑気なことしてんだ! 早く行くぞ」

「はりきってるね〜戦桃丸君」

「早くしろよ! 全滅しちまうぞ!」

「そ〜だね〜」

黄猿は光を収縮して移動を開始する。

光の速度で移動をした黄猿はファーゴの背中に攻撃を与えようとしたが、突如として

稲妻に遮られた。

「ヤハハハ、読めていたぞ」

「雷人だね〜、あっしに勝てると思ってんのかい?」

「アスラ曰く、自然系が最強だと言っている奴の死期は早いそうだ」

「言うね〜」

光と雷が激突し、目を開けられないほどの光が辺りにほとばしった。


「言うことを聞きなさい」

そんな声がした。すると近くにいた海兵が泡を吹いて倒れた。

「まさか……」

気を失っているルフィとカクを守りながら戦っていたアスラは驚いてビビを見る。

ビビは暴れていた像剣ファンクフリードを睨んでいた。

ファンクフリードは体を震わせその場から動こうとしない。

「私が新しい使い手よ、分かった?」

「パオ―……」

「いい子ね、じゃ、剣になって」

素直に言うことを聞くファンクフリードは剣の姿へと戻り、ビビの手に収まった。

「さて、行こうかしら」

両手に武器を持ったビビも戦場へと乱入した。


「くっ……わしは」

「目が覚めたようだな。さっそくで悪いんだが、ルフィを守りながら戦えるか? 一

気に勝負に出ようと思ってな」

「構わん、船長命令じゃろ?」

「そんなつもりはないが、まぁ頼む」

「了解した」

体を起こしたカクは麒麟の姿になりルフィを狙う者たちを撃破していく。

「さて、終わりにしてやるか軍神五兵――幻鏡・四面」

アスラが四人に分裂する。それを見た海軍は、

「魔槍が能力者になっただと!?」

と言っていたが、一人のアスラが海へと潜り戻って来るのを見て、能力者ではないと

理解した。だが、

「能力者でない者でどうしてそんなことが……」

目の前の光景を偽りだと信じたかったのだろう、なんども目を開いては閉じ、現実を

否定していた。

「そんなこと、不可能だ……ありえない」

『俺に不可能は無い。それだけだ』

四人のアスラは同時に同じことを言うが、向いている方向は違う。そして、それぞれ

が違う軍艦の上空に浮き、槍を構える。

『覇国!』

軍艦目掛けて槍を向ける。衝撃波が生じ、一瞬にして四隻の軍艦は消えてしまった。

「ば、ばけものだ……勝てる訳がねぇ」

海兵の一人がそんなことをつぶやく。

「バ、馬鹿者! 魔槍一人に――」

「キャハハ、一人じゃないわよ」

「っ! 浮き石」

「さようなら。一万キロハンマー!」

「ぐはっ!」

「に、逃げろ! 勝てる訳がねぇ!」

海兵は怯え、自ら海へと飛び込む。

麦わら一味は若干劣勢に立たされていたが、そこへ不思議な声が脳へ響かせていた。

「来たか……」

アスラは声の主を理解し、ルフィたちに声をかける。

「麦わら一味! それとフランキー! てめぇらは先に逃げろ!」

「は!? 軍艦はまだ――」

「ちげぇよフランキー、海へ飛べ」

ウソップは理解しているようで、フランキーを捕まえて橋から飛び降りる。

橋の下には麦わら一味最後の仲間、ゴーイングメリー号が待ち構えていた。

ファーゴたちはメリーの逃げ道を確保しつつ、軍艦を撃破していく。

「こりゃ、わっしらの負けかね〜」

状況を見ていた黄猿はそんなことを言う。

「オジキ! 何言ってんだ!」

「戦桃丸君、わっしは昔魔槍に負けてるんだよ? この状況じゃ敗戦は必須だよ〜」

「んなことまだ分からねぇだろ!」

「ふん!」

「ぬあ!」

「んんん! んん!」

「下唇噛んでて何言ってるか分かんねぇぞ!」

「はっ!」うっかり!

「舐めやがって、足空独行!」

「ジェット・パンチ!」

強力な張り手と拳が激突する。しかし武装色を纏っている戦桃丸の方が勝った。

「ぬっ!」

吹き飛ぶゲダツ、それを後方に現れたカポーティが支えた。

「無事か?」

「問題ない。しかし、あの斧は手に入れたいな」

「あ? ああ、ドルトンが斧なくて困ってたからな」

ゲダツの言っていることを理解したカポーティはゲダツの横に立つ。

「んじゃやるか」

「うむ」

「お前たちを相手してる暇はねぇ、対象首を貰う」

「ダメだよ〜戦桃丸君、潮時だよ〜、被害がひどすぎる」

「けどよ!」

「戦桃丸君?」

「……ちっ! 分かったよ」

「わっしらの負けだね〜だが、いつまでも頭には乗らせないよ〜?」

黄猿と戦桃丸は引き上げて行った。

それを見た他の者も撤退していった。

アスラたちも無理な戦闘はさけ、ドルトンが奪った軍艦に乗った。


この日、海軍は惨敗した。

そして、自分たちの汚点は避けつつ、フィオナ海賊団を現時点で超一級危険集団とし

て世界中に流した。


<あとがき>

どうも、八咫です。

しばらく更新しませんですいません。ずいぶん忙しくて手が付けられなかったので、

ようやくと言ったところです。

早足になってしまいましたが、エニエスロビー編は終わりです。

ここから不定期な更新となると思いますが、今後ともよろしくお願いします。

次回は懸賞金話になるので短いです。

-57-
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