小説『神のミスでONE PIECEに転生させられた男』
作者:八咫()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

『出会いと救出』




「いい加減にしつこい!」

その後のアスラは島を転々と一人用の船を使って移動しつつ、海軍の追手を振

り払っている。

時折、住民がいる島に海軍が攻撃を仕掛けた時には激怒し、攻撃した船を沈め

たりもした。

「いい加減に捕まらんか! このガキ!」

「いやだって言ってんだろジジイ!」

現在は無人島でガープと戦闘をしている最中である。

アスラと戦う際は三人以上の中将が必要だが、そのうち二人は既に戦闘不能に

してある。

「ふん!」

「うおっ!」

ガープは能力者でない為、ダメージは当然十割喰らってしまう。

「くそっ! 砲突き!」

「喰らうか!」

回避したガープは隙が出来たアスラを殴りかかる。

「ふん!」

「ぐあ!」

吹き飛ばされたアスラは気を失いかけたが、立ち上がり逃走を図った。

「逃がさん!」

頭を打って多少ふらついているアスラを追撃しようと、ガープは接近する。

「破突き!」

アスラは近づいてくるガープに下段から槍を振り上げた。

「ぬっ!」

とっさの判断で回避することはできたが、センゴクの時と同様に傷が出来た。

「なるほど、それがセンゴクに傷をつけた技か」

「ほんとだったら串刺しにしているんだがな、まぁトレーニング不足だな」

「ふん、ワシにこんな傷をつけるんじゃ、大した腕じゃ」

「それはどうも、んじゃ俺は逃げる」

「あっ! またんかい!」

「じゃーなー!」

近くに止めてあった船に乗り込み、アスラは無事逃げ切った。

「このままじゃダメだなー新世界でも行って鍛えよう」







「グララララ!」

「どうしてこうなった……」



少し前のこと



新世界に入った後、ログも持っていないため彷徨いながら街に付く、しかしそ

こが白ひげのシマの一つで、運悪く白ひげたちも食料などの調達で訪れている

最中だった。

当初はかかわらないようにしていたが、白ひげ海賊団の一人花剣のビスタに見

つかり、あれよあれよといったのち白ひげの船員たちに囲まれた。

「この街に何の用だよい、死槍」

一番隊隊長不死鳥のマルコが代表して話しかけてきた。

アスラとしては好きなキャラクターたちに会えて感動していたが、マルコに尋

ねられた時は顔を引き締めた。

「海軍に追われている身なんでな、新世界で鍛えようと思って来た」

「なるほど、マリージョアの一見は本当だったという訳か」

マルコの隣にいたジョズが頷く。

「で、どこかいい場所はないかと探していたんだが、腹がへってな。立ち寄っ

たって訳だ。特に迷惑をかけるつもりはない」

「分かったよい、オヤジにはそう言っておくよい」

そう言ってマルコたちは去って行った。

その後食堂に入り、食事をしていると

「死槍はいるか?」

白ひげがやって来た。

「ごふっ!」

ちょうど飲み物を口に含めていた時だったため驚いて吹き出してしまった。

「げほ、げほ、俺がそうだが? 何の用だ白ひげ」

「グララララ! 生意気なガキだ」

「悪かったな」

「おめぇ、修行の為に新世界に入ったんだって?」

「それが?」

「グララララ! ずいぶん変わったやつだ」

「ほっとけ」

「気に入った。おめぇ俺の家族にならないか?」

「はぁ?」

白ひげの言葉に呆けた声しか出せなかった。

「お前は面白れぇ、丁度―「断る」ほう?」

「俺はまだ海賊になるつもりはねぇ」

「まだか……グララララ、なら勝負としゃれ込もうじゃねぇか」

「……えっ」





そして孤島へと移動し、二人は向かい合う。

マルコ以下の船員は船で待機している。

「グララララ!」

「どうしてこうなった……」

「俺が勝ったらお前は家族になる。お前が勝ったら……好きにしろ」

「いや、待て、どう考えても俺が不利だろ」

「なら、俺に一発入れたらお前の勝ちだ」

「……分かった。それでいい」

空気が張り詰める。

どちらも相手の様子を伺うかのように硬直する。

「っ!」

先に動いたのはアスラだった。

一撃を入れさえすれば勝てるアスラは一気に近づいて決めるつもりだった。

しかしアスラは忘れていた。目の前の男が世界最強だと言うことに。

バキィン!

と大気が割れ、振動が伝わる。

島にも振動が伝わり、アスラはバランスを崩した。

そこへ白ひげが持つ薙刀で追撃される。

「うわっ!」

槍でガードすることは出来たが、踏ん張ることは出来ず、後方へ吹き飛ばされ

た。

「グララララ! 終わりか?」

「くそっ、舐めていた……さすが世界最強、その名は伊達じゃないか」

(どうする、グラグラの実で揺らされたら近づくことも出来ない。いくら能力

者に対して耐性があるといっても何度も攻撃されたら意味がない)

「それでも進むしかないか!」

「グララララ、突っ込んでくるか、面白い」

薙刀を振りおろし、その衝撃がアスラを襲う。

横に転がって逃げたアスラはさらに近づく。

白ひげはそれを見て、再び大気にヒビを入れる。

「砲突き!」

槍の先端から衝撃波を飛ばすが、大気にヒビを入れられて防がれた。

(それは考えてた)

さらに白ひげへと近づき跳躍する。

(狙うは右肩だ)

「閃―」

「ふん!」

アスラが投擲する直前に白ひげは右腕で殴った。

「ぐっ、……まだだ!」

吹き飛ばされそうになる前にアスラは槍を投げた。

白ひげは難なく避けたと思い込んだが、右肩から出血してた。

「オヤジ!」

船から見ていた者たちが騒ぎ出す。

「落ち着け! かすり傷だ」

「お、れの……か、ちだ」

「グララララ、ああ、俺の負けだ」

対等な勝負ではなかったがアスラは白ひげから勝利を手にした。辛勝といえる

が、勝ちは勝ちである。






それから三日間眠り続けたアスラを白ひげの船医たちが治療をしていた。
目を覚ますと船員総出での宴が始まった。

「いやーやるじゃねぇお前! やっぱり仲間になれよ! お前が居るのは心強

い」

「ならないって言ってんだろ、まぁなんかあった時は力になるけど」

「グララララ! おい、アスラ、敗者の俺に何を望む」

「んーそうだな……禁酒しろ」

「あぁん?」

「禁酒だよ禁酒」

「グララララ、俺から酒を奪うか」

白ひげは面白そうに笑う。

「敗者は勝者に従うもんだぜ?」

「グララララ! 生意気なガキだ」

「代わりに何かあった際には手を貸す。まぁそれまでに俺がどこかの海賊に入

っていなければの話だが」

「……分かった。今日から酒は飲まねぇこれでいいか?」

「ああ、それでいい。あ、あと少しこの船に乗っていていいか? 稽古にはも

ってこいだからな」

「グララララ! 好きにしろ」

それから数年アスラは白ひげを筆頭に隊長たちと特訓に明け暮れた。その過程

でアスラは見聞色の覇気に目覚める。

これを機に海軍は一層警戒をすることとなり、懸賞金が四億に跳ね上がる結果

となった。

白ひげたちは額が上がったと知って笑っていた。





その後ジンベエが七武海入りしたと知り、アスラは東の海に行くことにした。

(ベルメールさんには生きていて貰いたいし)

途中まで白ひげたちに送ってもらい、グランドラインを抜けた。

海軍は白ひげが新世界から出たことを知ると大慌てだったが。

東の海についてからは急いでコノミ諸島ココヤシ村へと急ぐ。






「ここか……まだアーロンは来ていないようだな」

ココヤシ村へと着いたアスラは村を不審な点がないか見て回る。また、危険人

物とされているため黒いフードつきのロングコートを羽織り歩いている。

槍にも布を巻いて持ち歩いている。が、明らかに不審人物である。

村の人たちも警戒している。

「うーんやっぱり怪しまれるよなこれ」

当然である。

「まずは信頼でも勝ち取りますか」

アスラは趣味の漁を行い、村の人たちに無償で振る舞っていた。

趣味とはいえ当初は水中戦闘を想定したものだったが楽しくなって今では趣味

となっていた。

魚を取っては配り、次第に親しくなって行った。その過程でゲンゾウやベルメ

ールとも知り合いになった。

そして、

運命の日が訪れた。








と、大げさに言うがアーロンの件はすぐに片が付いた。

少し前まで新世界で特訓を重ねていた者と一年とはいえインペルダウンに幽閉

されていた者とでは勝負はほとんどついていたようなものだった。

ただし、その時アスラは漁に出ており、アーロンたちが上陸してすぐとはなら

ず、ベルメールが追い込まれるところだった。

「くっそ漁に行っている時に来るなんて、アーロンめ……ゆるさん」

完全にとばっちりだが、アスラは槍に巻いてある布を取り、ベルメール邸へ急

行した。

家の前は村の人たちと魚人たちが争っており、アーロンとベルメールがその中

心に立っていた。

ベルメールにアーロンが持つ銃が向けられた。

「ノジコ!! ナミ!! 大好き」

アーロンが引き金を引こうとしたその時、

「ぬおおお!」

「何!」

アスラがアーロンの銃を蹴りあげた。

銃弾はベルメールの頭部の上を通って行った。

「てめぇ、なにしやがる」

「知り合い助けてんだよ、分からねぇのか?」

「アスラ……」

「悪いねベルメールさん漁をしてたら遅くなった」

「「ベルメールさん!!」」

ノジコとナミがベルメールに抱き着く。

「下がっててベルメールさん、すぐに終わらせるから」

「俺と戦うのか下等生物が」

「だからいるんだろうが魚野郎」

「ぬかせ!」

アーロンは右腕を振りかぶり、アスラを殴りかかるが、見聞色の覇気に目覚め

た。アスラに当たるわけなかった。

攻撃を避けながらアスラはアーロンに少しづつであるがダメージを与えていた

。アーロンの体は次第に血だらけになって行く。

「はぁ、はぁ、はぁ、この、かの下等生物が!」

「お前よりはましだよ」

アスラは槍をアーロンの心臓へ刺す。

「がはっ!」

「じゃあな」

「ち、くしょ……」

槍を引き抜くとアーロンは倒れた。

「ア、アーロンさんがやられた。あ、あいつ一体何者なんだ……」

「お、おい! 見ろ、手配書にあいつが!」

「ひ、し、し、死槍ッ!」

「気が付くのおそっ、まぁいいけど」

「なんで……こんな最弱の海なんかに……」

「気分だよ」

そこでふとアスラは白ひげが原作で魚人島を救った言葉を自分なりに変えて言

ってみた。

「この諸島は俺のシマだ。勝手にでしゃばってんじゃねぇ」

と怯える魚人たちを威嚇する。

『ヒィィィィィ!!!』

「おい、逃げるな! 魚人族の誇りはどうした!」

(さすがに幹部連中は逃げないか)

「くっ、アーロンさんの仇だ!」

「ニュ、覚悟ぉぉぉ!」

ハチ、クロオビ、チュウの三人はアスラに向かって走り出す。

「……流水」

槍を両手で持ち、目を閉じる。

三人が近づいた瞬間、流れるような身のこなしで三人の間を抜ける。

「三滅」

三人の胴部分に無数の切り傷が生まれた。

『ぎゃあぁぁぁぁ!!』

「安心しろ、殺しはしない」

早々とここに来た目的でもあるベルメール救出だが、コノミ諸島を自分のシマ

だと主張したが為厄介なことが起きるとはまだこの時は思ってもみなかった。




無事にベルメールを救出したアスラは村を出ようとするが、村の人々に止めら

れてしまう。また、ナミが「いつかアスラの海賊になる」と勝手に海賊だと決

めつけていた。

こっそり出て行こうにもベルメールを筆頭に足止めを食らってしまう。

そして再び運命が動き出す。




「おーい! 海軍が来たぞー!」

「げぇっ! まずい」

アスラは急いで支度をする。

「アスラ……行っちゃうの?」

「ああ、いつかナミが自分の夢の為に海へ出たら、きっと会えるさ」

「……うん! 約束だよ!」

「ああ、約束だ」

アスラは止めていた一人用の船でこっそり島から離れようとした。

その為アスラは気が付いていなかった。軍艦が十隻来ていることに。

気が付いたのは轟音が鳴った時だった。

「なんだと……なんで村を襲ってるんだ」

ふと、対象が自分ではないという時点でアスラは原作から一つの出来事を思い

出していた。

「バスター……コール」

それは島ひとつ消すことができる力である。



『ここは俺のシマだ―』



「俺が原因か……くっくっ、大した正義だ………………」













「潰す」


海軍本部中将五名、および軍艦十隻対死槍のアスラ一人

史実には存在しない戦いが幕開く。

-8-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




ワンピース DXフィギュア〜THE GRANDLINE LADY〜SPECIAL★しらほし姫
新品 \1800
中古 \1600
(参考価格:\)