小説『ハイスクールD×D Dragon×Dark』
作者:()

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 翌日、オカ研の部室を尋ねると、シャワーの音がした。

(何故シャワーが?それに、旧校舎なのに水道来てるのか……それを言ったら電気もだが)

「ん?木場は居ないのか?」
 自分よりも早く教室を出ていった木場が居ないので尋ねてみると、兵藤を迎えに行ってるらしい。

「昨日に続いて今日もとは……ご苦労な事だ」
「あなたと兵藤君は二年生だから、呼びに行くのは同じ二年生である彼が良いと部長の判断です」
「なる程、確かにその方がいいな」
(他の人達――木場もだが――は有名人という事もあるし……何より美少女に訪ねられたら後が面倒だ)

「隣に座ってもいいか?」
「……どうぞ」
 羊羹を食べている少女に声をかけてからソファに座る。



 しばらく待っていると、部室に木場に連れられた兵藤が入ってきた。
 それとほぼ同時にシャワーからリアス・グレモリー先輩が出てきた。
 オカ研メンバーと兵藤の自己紹介が終わると、リアス・グレモリー先輩が口を開いた。

「兵藤一誠君。いえ、イッセー。私達オカルト研究会はあなたを歓迎するわ。――悪魔としてね」

 兵藤一誠の受難と幸福は、恐らくこの時を(さかい)に決まってしまったのだろうと、後の俺は思った。


「単刀直入に言うわ。私達は悪魔なの」
 単刀直入過ぎる。兵藤も何のこっちゃと言う顔をしている。

「信じられないって顔ね。でも、あなたも昨夜、黒い翼の男を見たでしょう?あれは堕天使よ」
 兵藤の奴、昨日も襲われたのか?ご愁傷様です。あ、まだ死んでないか。

 リアス・グレモリー先輩が悪魔と堕天使、それと天使について話をするが、兵藤はこれぽっちも理解できていない様だ。
(ま、普通こんなこと言われても信じられないよな……)

 だが、兵藤は信じざるを得ないだろう。何故なら、彼は既に彼らと同じ悪魔なのだから。


「――天野夕麻。あなたはあの日、彼女とデートしていたわね?」
 今度は俺が首を傾げる番だった。それが一体、今となんの関係がある?

「……冗談なら、ここで終えてください。正直、その話はこういう雰囲気で話したくない」
 どうやら、兵藤は怒っているようだ。デート相手という事は彼女だろう。それがオカルトネタにされたと思って怒っているのか?
 話は最後まで聞くべきだ。怒るとしてもそれからだ。

「彼女は存在していたわ。まあ、念入りに自分があなたの周囲に居たという証拠を消したようだけど」
 リアス・グレモリー先輩が指を鳴らすと副部長の姫島朱乃先輩が懐から写真を取り出す。
(学校の制服の内ポケットって女子にもあったんだ。というか、そもそも自分が持っていろよ……)

 そんな事を思った俺とは違い、兵藤はその写真を見て驚いていた。
「その子よね?天野夕麻ちゃんって」
 写真に写っていたのは俺も見た事のある長い黒髪の女の子。それは兵藤を殺した……もとい、殺そうとした堕天使だった。

「この子は、いえ、これは堕天使。昨日あなたを襲った存在と同質の者よ。彼女は目的を持ってあなたに近づいた。あなたを殺すために」
「な、なんで俺が狙われるんだよ!」
 まあ、普通は一般市民が堕天使に襲われる事なんて無いよな。

「彼女があなたに近づいた理由は彼らにとっても危険な物、神器(セイクリッド・ギア)を見に宿す存在だからよ」
 へえ、兵藤も神器持ちだったのか。
 だが、それで死んだら浮かばれまい。アーメ……っと、死んでないし、悪魔の居るところでこれは拙い。

「神器は特定の人間に宿る規格外の力。大半は人間社会規模でしか機能しない物ばかりだけど、中には私達悪魔や堕天使の存在を脅かす程の力を持った神器もあるの。――イッセー、手を上にかざしてちょうだい」
 兵藤が左腕を上にかざす。

 どうやら、彼の神器を発現させるらしい。
「ドラゴン波!」
 兵藤がそう叫ぶと彼の左腕が光りだした。
(でも、あいつよくこの状況であんな事言えたな……微妙に尊敬するぞ)

 光が収まった後に、彼の左手は赤い籠手が着けられていた。
「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!」
 兵藤は驚いていたが、俺も内心同じくらい驚いていた。
(おいおいおいおいおい!なんであんな物がこんな所にあるんだよ!?)

 今の俺は、内心の同様を隠す事に必死で、残りの彼らの話はこれぽっちも頭に入って来ない。


「――朧君、朧君!」
「はい、何か御用でしょうか?」
 リアス・グレモリー先輩の声になんとか返事をする。

「今自己紹介をしていたのだけど……聞いてなかった?」
「す、済みません。今自己紹介を。――黒縫朧です。オカルト研究会にはつい最近入ったばかりだ。新入同士仲良くしてくれると嬉しい」
「そして、私が彼らの――一名は違うけど――主であり、悪魔であるグレモリー家のリアス・グレモリーよ。家の爵位は公爵。よろしくね、イッセー」

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