小説『ハイスクールD×D Dragon×Dark』
作者:()

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「はぁ……はぁ……」
「つ、疲れたにゃん……」

 あれから三時間ほど戦い続けていたが、決着はつかなかった。部屋はボロボロになったが。

「飯にしよ……」
「ねこまんまがいいにゃ!」
「食っていく気なのかよ……」


 面倒なのでサケ茶漬けを作って済ませた。
 飯を食べ終わると黒歌は無事だったソファで寝てしまった。

「寝てる間に埋めてぇ……!」
 そんな事をしてもすぐに戻ってきそうなのでしないが。


「さて、今頃兵藤は悪魔家業に勤しんでいる頃だろうか」
 俺は悪魔稼業には参加してない。その理由は言うまでもないだろう。

「暇だ……」
「そう言えば」
「何だ黒歌、起きてたのか?」
「この辺りにはぐれ悪魔が出るそうだにゃ」
「俺の目の前に居るが」
「私の他に居るのよ」
「ふーん……」
 俺は大抵のはぐれ悪魔より強いから、そんな事を聞かされてもなんとも思わない。

「で、そいつ潰してくれる?」
 訂正、聞かなければよかった。

「一応聞くが、何で俺がそんなことしなければならない?」
「この近くで他にそんな事できそうなのは君くらいだからにゃ」
「リアス・グレモリーの眷属に任せておけばいいだろ。元々あいつらの領分なんだから……ああ、つまり白音を戦わせたくないのか。このシスコンめ」
「もっぺんやる?」
 手に妖気を集めながら言う黒歌を前にして、俺は首を横に振った。

「見つけたら殺すが、自分からは探さないぞ。これでも監視されている身だ」
「しょうがないわね。それで勘弁しといてやるにゃん」




「お兄さん、私といい事しない?」


 黒歌からはぐれ悪魔の事を聞かされてから数日後の部活の帰り、見た目美人なお姉さんに誘われました。
 俺はため息をついて一言。

「どこ行きます?」
「こっちよ」



 連れて行かれた先は廃屋だった。

「ここですか?」
「ええ。――ここが貴様の墓場だ」
 そう言った女性は上半身裸に。そして、下半身は四本の足と蛇の尾を持つバケモノと化した。大きさは5m程。
 そう、彼女は(くだん)のはぐれ悪魔だったのだ。

 だが、それを最初から分かっていた俺は動揺する事はない。
「いえ、死ぬのはあなたです」
 俺は自身の神器(セイクリッド・ギア)黒き御手(ダーク・クリエイト)を発動。俺の両手と腕を黒い長手袋が覆う。

「バカな!?神器(セイクリッド・ギア)保有者だと!?」
「残念でした。また来世で頑張ってね。あるならだけど」
 黒い槍をいくつも創り出し、それをはぐれ悪魔に投げつける。

「ぎゃあーーー!」
「でかい図体だから時間がかかりそうだな……」
 痛みに暴れるはぐれ悪魔を見ながら次の槍を創り出した。



「はぐれ悪魔バイサー。あなたを消滅させに来たわ。大人しく出てらっしゃい!」

 しばらくするとリアス・グレモリー先輩率いるオカルト研究会(グレモリー眷属)の面々がやって来た。
「ほら、呼んでるぞ。何か返事してやれ」
「た、助けてくれぇ……!」
「おい、自分を殺しに来た奴らに助けを求めるな」


 しかし、バイサーの必死の叫びが届いたのか、グレモリー眷属は急いでやって来た。

「黒縫君!?まさかあなたが……」
「はぐれ悪魔はこっちですから。勘違いはしない様に」
 瀕死のはぐれ悪魔を蹴る。

「こ、殺してくれ……」
「どういう事かしら?」
「襲われたので反撃するも、こいつの生命力が高くて死なない。可愛そうだから介錯(かいしゃく)してあげて。俺は帰る」

 そう言って彼女等の横を通り抜ける。
 説明の過程が抜けた気がするけど気にするな。



 止めは刺せなかったが、黒歌の望み通り白音は戦闘しなかったから良しとしておこう。

「帰って寝よう。良い子はもう寝る時間だしな」
「君は絶対に良い子じゃないにゃん」
 後ろから声をかけられる。

「黒歌……見てたなら手伝えよ。殺すのに苦労しただろ」
「手抜きするからよ。けど、ありがと。白音が戦わずに済んだにゃ」
「今思ったんだけど……最初からお前がやれば良かったんじゃないか?」
「私が見つかる訳にはいかないから」
「……面倒なシスコンだ」
「死ね」

 黒歌が妖気を全開にして襲いかかってきた。
 俺は全力で逃げる!

 この事、後でバレるんじゃないだろうか……。



 春の夜
 猫から逃げる
 丑三つ時
       by朧
 

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