小説『闇夜にはマロウティーでも』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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―翌朝 花茂芽―
ピリリリリ…ピリリリリ…
携帯電話のけたたましい音が部屋中に鳴り響く。
「…はい。染月です。」
「ああ、花茂芽か。帯夢だ。昨日の場所について手がかりをつかんだ。今から言うところに来てくれ。早急にな。」
私は場所を聞いて準備をした。すぐにそこへ向かうとすでに帯夢がいた。
「遅いぞ。何故遅れた?」
「すみません。なにせ電話貰ったの寝起きで…」
「お前俺が電話したのは朝の10時だぞ?しかも12回も電話させやがって。少したるんでいるんじゃないのか?」
「うぇ?…」
説教を喰らってしまった。畜生…あの腐れ髭が。
「とりあえずここがそのカフェだ。あのOL女…成田 知宇夢(なすた ちうむ)が経営している店だ。彼女はマスター…成田 民斗(なすた みんと)の妻で、被害者の親友だ。それでつい最近被害者と民斗が付き合っていることを知ったらしい。その嫉妬で犯行に…」
そこまで言ったところで私は遮った。
「ちょっと待ってください。それはあり得ません。だって死亡推定時刻の1時間前からバーにいましたもん。酔っぱらって歌ってました。私が証人です。」
「そうか…じゃあどうなんだろうな。ここくらいしかお茶を飲む場所なんてないぞ。知宇夢の家は被害者が知らなかったし…。」
「じゃあマスター…民斗さんの家はどうでしょう?」
「ああ、マスターの家はバーの裏、お前が寝ていたところだ。あそこでの犯行はお前が否定したんだぞ?それより何故知宇夢と民斗が別居しているとわかったんだ?」
「私だってもう大人の女ですよ?二人の顔を見ればどんな状況かなんてすぐわかりますよ。」
「そうか…まぁそんなことはどうでもいい。入るぞ。」
どうでもいいなら聞かなきゃいいのに。そんな不満を抱えつつも私は中へ入っていった。

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