小説『闇夜にはマロウティーでも』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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帯夢と別れて15分が経過しようとしていた。するといきなり正治がこう聞いてきた。
「あの…」
「なに?」
「父親は…なぜああなってしまったのでしょう?」
正治は私と同じことを考えていたようだ。
「…そうね。私もそう思ってたところよ。だってあの人はアメリカにいたときとは全然違うわね。もうあの時のような人間味のあるあの人はいない…そういうことなのかしら?何か変わったことあった?」
正治は考える仕草を見せ、あっと思い出した声を上げた。
「そういや…花茂芽さん3ヶ月前にあった事件、ご存知ですか?」
「…3ヶ月前…もしかして喫茶店男性毒殺事件のこと?」
「ええ、そのことです。あの事件の担当刑事は親父だったんです。その事件があってから親父の感情が薄くなったんです。」
なるほど…あの事件の担当刑事は帯夢だったのか…
「あの事件の資料…手に入らないかしら?」
私は正治に質問するニュアンスを含めながら口にした。
「…いけるかも…知れないです。」
…ビンゴ。やっぱり息子だからなぁ。
「でも、俺たちが捜査しているのは檸檬さんの事件ですよ?この事件が関係あるのか…」
「そうね…関係あるのか…」
そのとき私の中で声がした。
『…み…いけ…』
「…え?」
ジャームの声がするがよく聞こえない。
『見に行け。その資料を。』
「…?なんで?」
『この事件、その事件が関係している。」
「なんでそんなことがわかるの?」
『…資料を見ればわかる。いいから見に行け。』
「…わかった。」
正治は顔をかしげている。
「誰と話しているんですか?」
「…?ああ、ジャームのこと?そう、あなた知らなかったわね。私多重人格でもう一人が私に話しかけてきたの。それだけよ。」
「…はぁ」
いまいちわかっていない。もしかしたらイタイ人物と思われたかも…
「まぁ、後々わかるわ。それより、年も近いんだしため口でいいわ。なんかムズムズする。」
「はい、わかりました…」
正治を睨みつける。
「わ、わかったよ…。」
「うん、それの方がいいわ。私人付き合いが苦手だから。」
「それで、これからどうしま…どうしようか?」
言い直したがまあいいか。
「そうね。事件資料を見に行きましょう。喫茶店男性毒殺事件の。」
「わかった。どんな考えがあるのかわからないけど、いってみよう。」
私たちは私の家に戻り車に乗って警察署へ向かった…

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