小説『闇夜にはマロウティーでも』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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―花茂芽―
「…なるほどね。それをジャームは言ってたんだ…最初から教えてくれればよかったのに…」
不満そうに軽々しくいう私をよそに考え事をしている正治が私に質問してきた。
「…さっき言っていた別人格のことについてはわかった。そういえば花茂芽って死体に触れたんだよな? 」
「ええ、今思うととんでもないことをしてたのね…」
「そのときなにか気づくことはなかった?」」
「いや、別に普通の死体だったわ。冷たかったし…」
すると正治はなにか閃いたような顔でこっちを向きなおした。
「…それは、おかしい…んじゃないかな?」
「なんでよ?死体って冷たいものでしょ?」
「うん、でも本来ならの話で今は夏でしょ?そんな環境じゃ死体も温かくなってるはずなんだ!」
「…!」
なるほどな。でも…
「じゃあ、あの死体はなんで冷たかったの?」
「冷たい理由…そうか、わかった!大体はわかったぞ!」
一人で盛り上がっている。
「ねぇ、どういうこと?」
「死体は死亡推定時刻をずらされていたんだ!それも花茂芽に罪を着せるためにね…」
私に罪を…?
一瞬信じられなかったが、信じるほかないだろう。
私は車の中で正治の推理を聞こうとした。

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