小説『闇夜にはマロウティーでも』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

「あなたにしか犯行は不可能だったか…それを証明することは、無理だった…」
「あれ?珍しく諦めちゃうんだね?いいよ、それでも。それが正しいんだよ!」
私はそれを落ち着いて遮った。
「…でもね、その代わりに証明できることなら、ある!」
「…は?」
「あの犯行、とても危険なものなの。あなたはそこまで考えてなかったのね。」
「…なんだ?俺を愚弄する気か?」
「知宇夢さんが殺したなら、あんなところに死体は置かない。夫に罪をなすりつけようとしても、それが不可能ってことになったら一番最初に疑われるのは妻のあの人。だから危険すぎる。マスターはもっと危ないでしょ?だから、あの関係者で一番犯人から遠く考えられるのはあなたでしょ?あなたはそれを狙ったの!」
すると銃から再び白い光が出てきた。仮面はまた小さな音を立てて割れた。とうとう最後。仮面は右目を覆っているだけ。それを割れば…
「なるほど…そういうことか…」
さっきまで興奮していた帯夢は下を向き落ちついていた、ように見えた。
「そういうことか…だがなぁ…お前の推理には…」
帯夢はさっきまで下げていた顔を上げた。その顔は憎悪に満ちた醜い鬼の顔をしていた。
「一番大切な部分が、欠けているんだよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!わかるかァァァ花茂芽ェェェェェェェェェェ!」
ひどく興奮している、もうとどめを指すべきだろう。
「…?何がでしょう?」
私は一番の笑顔で帯夢に問いかけた。
「フザケルナァァァァァァ!お前、俺に薬が手に入るとでも思ったのか?え?どうなんだよ!!!!」
「・・・もちろん想定内よ。薬は毒殺事件の証拠から手に入るはずでしょ。」
「ああ、そうさ!だがなぁ警察もそう無能じゃねぇんだよ!証拠なくなりゃぁ探すにきまってんだろうがァァァァァァァァァ!」
すると私の携帯が鳴った。見ると正治からメールがあった。やっときたか、最後の証拠が来た。
「このメールを見なさい。あなたの息子さんから。」
メールにはこう書いてあった。
『花茂芽へ
お前の推理は正しかったようだ。
証拠からは青酸カリが消えていた。
しかも最後に借りたのは…親父だった。』
その下には写真もついており、そこに青酸カリが消えた証拠写真が張ってあった。
「どう?この証拠を見てもまだ嘘を吐く?あなたは、復讐の心にあふれた悲しい殺人犯なのよ!」
すると銃からは一際大きな光が放たれ、その銃から出た弾は帯夢の最後の仮面を割った。
「…これでおしまい。残念ね…」
すると空間は消え、目の前にはうなだれた帯夢がいた。

-26-
Copyright ©狂ピエロ All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える