小説『闇夜にはマロウティーでも』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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―ジャーム―
「それじゃはじめるか。」
「・・・ああ、まずは俺の論理を聞かせればいいんだな?何分、俺も十数年このゲームをしてないから忘れているかも知れん。」
「そのとおりだ。まずはそうだな・・・お前が花茂芽を疑う理由を教えてもらおうか。」
すると帯夢はメモに箇条書きで疑う理由を書いていった。
「・・・これくらいか。まずこれがお前の手札だ。これを貴様が破壊していき、この手札が無くなったらお前の勝ち、花茂芽は犯人ではない。だが一枚でも残ったら俺の勝ち、花茂芽を犯人として拘束する。・・・これでいいな?」
「ああ、構わない。どれ、俺の手札は・・・」
確認すると、
・死亡推定時刻に被害者の近くにいた。
・動機は突然のもの。
・青酸カリは大学から持ってこられる。
なるほど。
「それじゃはじめるとするか。あ、そうだ。お前に頼みたいことがあるんだが。」
「・・・なんだ。」
「この手札を壊すために少し捜査をさせてもらえないか?」
「・・・いいだろう。だがあまり現場を荒らしてもらいたくないからな。必要になったときのみ許可しよう。」
「ああ、それで十分だ。それじゃあまず・・・これから壊していこうか。」
俺は手札から2枚出した。それは動機と青酸カリの手札だ。
「・・・一気に2枚壊そうってか。」
「ああ、お前はかなり初歩的なところから躓いているな。」
俺は帯夢を睨みつけるようにしてそういった。
「まず動機だが突然のもの。これは間違いじゃないんだな。」
「・・・ああ、あいつと被害者に接点が無かったからな。」
「じゃあ俺の論理は成り立つ。」
「なんだと?」
「まず何故花茂芽は青酸カリを持っていたんだろうか?」
「それは被害者の檸檬を殺すためだろ?」
「それなら動機は?」
「だから突然のもの・・・!!」
「ようやく気づいたようだな。そう、突然の犯行なら青酸カリを前もって用意できなかったのだ。」
「クッ・・・これは使えないな。」
そういうと帯夢は自ら俺の手札を破った。まずはOKだったようだ。これからは・・・うんいける。俺は確信した。確実にこの論理は壊れると。

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