小説『闇夜にはマロウティーでも』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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さあ、あと一枚だ。
だがこいつがなかなか曲者だ。
こいつを破壊するには花茂芽は嘘をついていないことを証明するしかない。
さすがに今のままでは・・・
「・・・あ、そうだ。帯夢、俺の頼みごと覚えているか?」
「ああ、捜査のことだろう?何か捜査したいのか?」
「そういうことだ。まず花茂芽が寝ていたところを捜査させてもらおう。」
「かまわんが、俺も同行させてもらおう。」
「もちろんだ。」
俺は帯夢に案内してもらい、ソファーの前に連れていかれた。
ソファーはなんの変哲もない普通のソファーだ。調べてみると毛布が落ちていた。なんだ花茂芽。本当にこんなところで寝ていたのか、はしたない。
ソファーはこれくらいか。次は・・・
すると俺の目の中に入ってきたのはいろんなものがおいてある机だった。
机の上にはトランプ、チップ、ティーカップが2つが置いてあった。
チップを見るからに、檸檬とやらが圧勝していた。花茂芽には博才がこれっぽっちもないからな。
ティーカップには2つとも口紅がついていて、中身は酸っぱい臭いのする青い液体とピンクの液体が入っていた。この色はマロウティーか。鮮やかなマロウブルーだ。もう片方にはおそらく酸性のものが入っていたんだろう。
「見てみて、ジャーム!珍しい酸性の薬だよ!睡眠薬なんだって!私最近寝不足なんだ?」
花茂芽の言葉がよみがえった。酸性か・・・あれ大丈夫だったんだろうか?
さて、そろそろ考えるか。
ティーカップ・・・睡眠薬・・・口紅・・・マロウティー・・・
そうか、なるほどな。
「どうだ?なにも見つからんだろう?」
「ああ、こいつを疑う証拠なんかひとつも見つからなかったぞ。」
「・・・嫌味なやつだ。それだけ言うんだから確証なんだろうな?」
「ああ、もちろんだ。見せてやろう、俺の完璧な論理を。」
俺はもう一度もとの席に座った。奴は不機嫌そうな顔をしていた。それを俺はにっこりと満面の笑みで返してやった。

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