小説『闇夜にはマロウティーでも』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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―花茂芽―
「・・・ジャームったら、女性に対してあんまりじゃないの?趣味悪だの毒々しいだの・・・」
「・・・花茂芽、ジャームを制御できるようになったのか?」
「あ、はい。いろいろありまして、今では会話もできるようになったんですよ。」
「・・・それはそれで怖いな。まぁいい。お前は無実だ。ジャームのおかげでお前の容疑は晴れたし、俺たちが真相を見損ねなくすんだ。本当にすまなかった。」
帯夢は私に頭をさげた。
「や、やめてください!そんなことしてないで早く犯人をとっちめてやりましょうよ!」
「ああ、そうだな。まずお前にいろいろと聞きたい事があるんだが、いいか?」
「ええ、かまいませんよ?ジャームもいろいろ言ってましたもんね。そのことについて話したらいいのですか?」
「ああ、そのとおりだ。まずお前はこの部屋に何故来た?ここは一応マスターの控え室みたいなところだろう?」
「・・・私、昔から酒癖が悪いんです。で私つぶれちゃったらしくここまでマスターに運んでもらったんです。」
「マスターとお前は知り合いなのか?」
「ええ、ここに来てお酒を飲むようになってもう長いんで。もう3年くらいの付き合いなんですよ。」
「・・・警察として聞き捨てならんことがあったな。お前今いくつだ?」
「まだ二十歳ですけど・・・?」
「じゃあ何故3年の付き合いなんだ?」
「・・・!えっと・・・それは・・・その・・・」
「まあいい。それはまた後でじっくり聞くこととしよう。」
「うぇ?・・・」
「つまりお前とマスターは親しかった。そういうことだな?」
「はい、そういうことです・・・」
「被害者とは面識もないのか?」
「ええ、ここで飲んでてもいませんでした。ここって表のお店のところですよ。」
「店にはいなかった、と。それじゃまったく知らなかったんだな?」
「はい。」
「次にお前がここに運ばれてからのことを教えてもらおうか。」
「え?っと、ここに運ばれて・・・マスターが紅茶を持ってきてくれました。あと私のバッグも。」
「紅茶はピンク色だったのか?」
「はい。綺麗なピンクでした。」
「なるほど・・・それで?」
「その紅茶を頂いて、眠たくなって寝ちゃいました。起きたら死体を発見してしまったんです。」
「なるほどな。何か変わったことは無かったか?」
「はい、これといって。」
「・・・これくらいか。」
帯夢はペンと手帳を置いて一息ついた。

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