「分かりました」
そういうとリナトは振り返り森の方へと歩いて行った。
その後ろを俺はほとんど同じ歩幅でついて行った。
「どこまで行くつもりだ?」
歩き始めて数刻が過ぎたところで俺は口を開いた。
だがリナトはなおも無言で歩いていた。
どこへ連れて行かれるんだ、そう思った矢先、すぐ正面から「着きました」と声がした。
少し慌てて前を覗くと、目の前には先ほどまで戦っていた敵の陣営があった。
「なっ!!騙したのか!?」
傍から見ても分かるほど慌てている俺とは逆にリナトは落ち着いた様子でいた。
「騙していたのではありません、ここにアンクの秘密があるんです」
俺は歩き出したリナトの後を追うしかなかった。
ちょうど敵陣の入口に差し掛かった辺りで俺たちは敵の兵士に止められた。
「……………」
リナトは俺には分からない言葉を喋っていた、話し始めて少しすると俺たちを止めていた兵士は道を開けまた持ち場へと戻っていった。
「さぁ、行きましょうか」
驚き続きで呆然としている俺をよそ目にリナトはまた歩き始めた。