「やあ、君たち何の話をしているのかな?」
「誰だ?お前は」
俺は突然かけられた高圧的な声に対し、あからさまに不機嫌を表して、そう言葉を返した。
だが、声をかけた男はそれを感じ取らなかったようで
「誰だとは失礼だな、僕のような高貴な者が、お前たちのような下賤な者に話しかけてやってるんだぞ?」
そう言って鼻を高くしていた。
何だこいつは、偉そうにしやがって、俺と同じただの上等兵じゃねぇか。
「悪いが、わしらはお前のことをまったく知らん」
さっきまで鼻を高くしていた男はジジイのその言葉に呆れた様子でいた。
「これだから教養のない奴は困る、いいか?僕はこの国に代々にわたって大佐クラスの人物を輩出してきたアイルス家の長男、アイルス…!」
「どうでもいいが坊っちゃん、ここはもうそろそろ敵の視界に映るぜ、そんなに大声出して、その上、頭も出していたら撃たれちまうぞ?」
「フンッ!僕がこのような場所で死ぬわけないだろ!!なぜなら僕は!!」
”バンッ”
「ほらな?」