ふと気が付くと俺は海岸から続く森の中に居た。
周りには俺と同じ軍服を着た男がたくさん座り込んでいた。
!?、なにが起きた!?俺はどうしてここに居るんだ!?
「おい、キョロキョロするなクソガキ、目障りだ」
一瞬ジジイかと思い振り返ったがそこに居たのは不機嫌そうな顔をした別人だった。
「お前、俺と一緒に居たジジイを知らねえか?肌が黒くて分かりやすいはずなんだが…」
「はぁ?そんなもん俺が知るか!」
質問をすると男はさらに不機嫌そうな顔をして去って行った。
その後、幾分かに渡りジジイを探したがどこにもその姿は無かった。
「全員整列!!!進軍を再開する!!」
遂には休憩していた部隊は進軍を開始した。
進軍が始まってからも俺はジジイを探したがやはりその姿は見えなかった。
道中、敵の偵察部隊と遭遇し戦闘になったが戦闘中あの笑い声は聞こえてこなかった。
「どこに行ったんだよ糞ジジイ…!!」
自分がなぜこんなにもあの男を求めているか分からなかった、分からないまま悩んでいたその時。
「あの少しよろしいでしょうか?」
どこからか声が聞こえてきて、慌てて辺りを見回した、するとすぐそこに見慣れない兵士が立っていた。
いつしか座り込んでしまっていた俺は重くなった腰を上げその兵士の前に立った、そこで初めてその兵士が自分より小さいことに気付いた。
「…誰だ、お前は」
冷めた声で話す俺に面と向かって話せないのか兵士は申し訳なさそうに下を向いて話した。
「えっと…私はつい最近この部隊に配属されましたリ…リナト・ロバノフと申します、階級は…二等兵です」
この人物にはいろいろと怪しい点が見受けられたがとりあえず自己紹介をすることにした。
「俺は秋元想多、階級は一応上等兵だがお前と扱いに大差はない敬語はよせ」
そう言うと、リナトと名乗った兵士は顔を上げてこう言った。
「あなた、黒い肌の年老いた兵士を探していますよね?」