小説『ボーッとしていたら、過去に戻ってしまいました。』
作者:氷菓()

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屋上のドアに手を掛けようとすると、
ドアにはゴシック体で゛立ち入り禁止〜鍵は空いてないよ(´∀`)てへぺろ〜゛と
大きな紙が貼られていた。てへぺろって..どんだけチャーミングなんだよ。
とか言いながらもドアノブに力を入れるとドアが勢いよく、開いた。
すると鈍い音がして阿姫が何故か屋上のタイルに腰を抜かしたように座り込んでいて、
頭をさすっていた。
「何してんの?」
「何してんの?じゃないわよ!あんたバカなの?勢いよく開ける馬鹿何処にいるのよ!普通そっと見るでしょ?
 呼び出しされちゃったどうしよう、キャハ!とか言いながら見るでしょ?」
「見ねぇよ」
なんだこのテンション。さっきの大人びた態度は何処にいったのやら。
やっぱり、私の推測違いだったのかも........。
「ねぇ................................ねぇってばッッ!」
阿姫が叫ぶように私の意識を自分に向けさせようと声を張る。
「うっさいッ!そのキンキン声で叫ぶんじゃねぇよっっ!耳もげるッ!」
「そんなことでもげるわけないじゃないの。バーカバーか」
「お前は馬鹿って単語しか言えねぇのかこのちんちくりんッ!」
「ちんちくりんですってぇええええええ!?ミジンコのくせにぃ!」
「私はミジンコじゃないし、いやアオミドロとミジンコどっち大きいですかって言う問題で、
 アオミドロってどや顔で答えたけど違うから!」
としょうもない口論を何分か続けたのだった。

「はぁ..はぁ...何てしぶとい奴なの..」
「こっちのセリフだ!このド阿呆!」
「はぁぁあ?この絶対天才阿姫ちゃんが阿呆ですってぇぇええええ?ばぁっかじゃないのッ!?」
何なんだ。この幼稚な女は。本気でありえんてぃーだわ。
「Shut up!(黙れ)」
と言い放ち私は阿姫のおでこにデコピンを放った。
「痛っっ!私にたんこぶつけたくせにまだ、私の顔に傷をつけるわけ?は?何様?
 調子のんな!未来から魂だけ来たくせに。私と未来でライバルのくせに生意気なのよっ!」
「お前...知ってのか!」
私は阿姫の肩をガシっと掴んだ。
「知ってるもなにも、私は未来で貴方と親友でライバルでもある!覚えてないの?アンタ、魂だけは
 私と同じ20なんでしょ?ねぇ、聞いてんの?」
う、嘘だろ。私がだいっきらいだった阿姫と親友?ライバル?魂が20歳?訳がわからない。
私は驚きのあまり言葉を放つことができなかった。
「も、もしかして......貴方は私とまだ未来で出会ってないの?」
「で、出会ってないッ.......しかも私は20歳じゃないし、高校生。」
「高校生...?ねぇ、ふざけてんの、彩矢。今の演技だよね?高校生なんて冗談やめ...」
「冗談なんかじゃない。本当だよ。阿姫は、私の親友なんかじゃないし、ライバルでもない。」
「じゃあ、間違って来ちゃったんだ...私」
「言っている意味が分からないんだけど...」
「未来ではね............もう時間だ。」
時間?訳がわからない。
まだ聞いてない事がたくさんある。未来では?何故貴女はここに存在しているの?
私が言葉を発しようとしたその刹那.....

彼女はグラッと体が傾き、私の視界から消えた。

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