小説『ソードアート・オンライン―黒の剣舞―【凍結】』
作者:バイタリティ()

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他人に勝てないのは仕方がない

―でも自分には勝てる

諦めろと囁く自分にだけは

―いつだって抗える



7話『βテスト』


垂直に降り下ろされた人の身体なんて簡単に真っ二つに出来そうな戦斧をバックステップで避け右手に持ったつい最近<森の秘薬>クエで手に入れた<アニールブレード>で3連撃ソードスキル<ガムラン>を放つ


黄色のライトエフェクトを纏った<アニールブレード>は左右の肩からクロスする形で2撃を繰り出し止めの1撃を肩からクロスした中心となる腹に突き刺す


その3連撃が決まると同時に斧を降り下ろした敵――<リトルオーガ>は微細なポリゴンの欠片となり消えた



「ふぅ……」
この階層―4層では強敵に数えられる<リトルオーガ>を倒し終えた僕は息を整えるためにその場に腰を下ろした
しかしこの<リトルオーガ>、リトルというのに2メートルはあるのは些か詐欺だと思う




βテスト開始からもう少しで2ヶ月が経とうとしている
つまりあと数日でこのβテストは終わりを告げる

今の僕のレベルは13
他のβテスターは20近くまで上がっていることから僕のレベルの低さが分かると思う

なぜレベルが低いのか、これには理由がある
それは僕が攻略をしていないからだ

現在攻略された階層は6層まで
みんな必死にレベルを上げパーティーを組んで各フロアボスを倒している

だがこれはβテストだ
リセットされるレベルを上げるのは少し無駄な行為だと思う
確かにレベルを上げれば熟練度は上がるしスキルスロットが増えて戦略の幅が広がるだろう
だが僕はこう考えた
リセットされるレベルを上げる暇があるのなら現実とは違う仮想現実でのソードスキルを感覚として刻み込もう、と

原作6巻『ファントム・バレット』でもSAO生還者の1人、レッドプレイヤー赤眼のザザは黒鉄宮に収容されている間ひたすらにソードスキルを身体に染み込ませていた
それはキリトに復讐するためという何とも馬鹿らしい理由だったが実際にGGOではその感覚として刻み込まれた剣技は最強の剣士を敗北寸前まで追い詰めたのだ


僕のソードスキルを感覚に染み込ませるという思惑は成功しているのかはまだ製品版をやらない限り分からないが無駄ではないことを祈ろう

そんな経緯で1〜2層でひたすらに修行していたのだがβテストもあと数日で終わるということで攻略されていて幾分か簡単になってはいるがかなり遅い攻略を始めたのだ

しかしずっと1人で修行していた僕なんかにフレンドなどいなく、さらに殆どが6層を攻略しているので再度POPした各フロアボスを1人で倒すこととなった

………辛かった
低階層故にボス自体はそんなに強くはない
しかし取り巻きの雑魚モンスターと連携を取られたりすると一気にソロプレイの厳しさを実感した…


そんな厳しい状況で活動していると全然上げていなかったレベルが凄い勢いで上がって現在13レベルなのだ


さて、連続4時間でダイブしているからそろそろログアウトするかな


ウィンドウを操作しログアウトを押す

【ログアウトしますか?Yes No】

Yesっと


このログアウトという表示を見ると安心してしまう自分がいる
まだここはデスゲームではないと実感するから


やっぱり僕も人間なんだなぁ…なんて思いながら仮想現実との接続を断った




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ってな感じで7話をお送りしました!朱音くんは攻略を優先して情報を集めるより生き残るためにソードスキルをひたすら練習するという方法を選びました。なので各階層の知識はβテスターでないプレイヤーに毛が生えたレベルです。それと初めて戦闘シーンなるものを書いてみたのですが…どうでしょう?変じゃないですか?それとオリジナルソードスキルをバンバン出していくつもりです!主に音楽用語から取ったりしますね!音楽用語はかなり使用しやすいです!今回出てきた<ガムラン>はインドネシアの民族音楽から取りました!なんか響きが気に入ったので…。さぁついに次回からアインクラッド編!頑張るぞ〜!って言いたいのですがテストが近いので少し更新速度が落ちます( ノД`)…

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