小説『ソードアート・オンライン―黒の剣舞―【凍結】』
作者:バイタリティ()

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怖い―と感じる時がある

これは長い夢で

いつか覚める夢なのかもと思ってしまう


だから君が起こしにくる朝が好きだ

君の温もりを感じられる朝が好きだ

君に全てを預けれる3分間が好きだ


君が―――好きだ



6話『報酬は生き残る術』


「やぁ、いつも態々すまないね朱音くん」


「いえ、好きでやってますから。それに報酬がとても魅力的ですからね」

ディスプレイから目を離しこちらを見てきた男性―茅場昌彦は僕の言葉にフッと笑みを浮かべた


ここはアーガス本社
数年前までは数多ある弱小ゲーム開発会社のひとつだったがここ数年の伸びは凄まじく今や最大手と呼ばれるまでに成長している


そしてそのアーガスの凄まじい躍進の原動力となったのが若き天才ゲームデザイナーにして量子物理学者―茅場昌彦なのだ

「さて、早速で悪いが今すぐ取り掛かってもらっていいかな?」


「分かりました。じゃあ更衣室お借りしますね」

まずなぜ一介の中学生である僕が大企業であるアーガスにいてそのアーガスの天才、茅場昌彦と親しく話しているのかを説明しようと思う


それは2ヶ月前の父さんの会社主催で行われるパーティーに連れて行かれたことから始まる


そのパーティーは父さんの会社を贔屓にしてくれている企業への感謝の気持ちを表して開催されたパーティーでその中にアーガスの名もあった

そして一番驚いたのは父さんと茅場さんが知り合いだったということだ


常日頃、父さんから僕の話を聞いていたという茅場さんからこんな話を持ちかけられた


「『ソードアート・オンライン』のソードスキルのモーション調整、ですか?」

まだ発売の一年前なのだがこの頃から『ソードアート・オンライン』は世間の注目を集めている


「あぁ、大和さん(父さんの名前)から話を聞くと君は幼い頃から剣道をしているそうじゃないか。それに加え剣術もかじっていると聞いている。そんな君を見込んでデータを取らせてくれないだろうか?現在調整が必要なのは『片手直剣』と『短剣』の二つなのだが…どうかね?」

ちなみに事前に『ソードアート・オンライン』に関する知識はあるということは話している
もちろんそれがデスゲームだと知っていることはバレていない


それと補足だが剣道は武道を通して礼儀を知る武道で剣術は…簡単に言うと人を殺す術だ
剣道には師範がいたがこの法律の厳しい現代に剣術なんて人を殺す術を教えてくれる人なんてそうそういるわけもなく…今は亡き師匠―スグのおじいちゃんに頼み込んで少しだけ、本当にかじる程度だけ指導してもらった

閑話休題

「もちろん報酬は出そう。そうだな…ではナーヴギアと製品化された『ソードアート・オンライン』のハード、それにβテストへの参加権でどうだろうか?君は中学生だからお金よりこっちのほうがいいと思ったのだがお金のほうがいいと言うのならそちらを用意しよう」


「…………いえ、その報酬で十分です。お役に立つかどうかは分かりませんが協力させてください」


正直これは助かった
僕が一番危惧したのはパッケージを購入出来ないという可能性だ
原作でも購入するために三日間並んだりする人たちが山ほどいたのだ
それに加え販売数は一万本
絶対買えるとは言えない現実的な数字だった


ぶっちゃけた話をすると僕は別に態々死ぬ危険を犯してまで『ソードアート・オンライン』という仮想現実に飛び込む必要性はない
観測者のおじいさんは僕に生を与えただけで何もゲームに参加しなくても構わないのだ
それこそ僕の願いであるユウキたちの生存は叶っているわけでこのままユルリと生を謳歌しても誰にも責められやしない

でも理由が出来た
明日菜先輩だ
彼女は原作通りデスゲームに囚われるだろう

僕は正義の味方じゃない
大切な人10人と知らない人100人だったら迷わず前者を選ぶ

彼女は一方的だが僕の大切な人だ
だから僕は飛び込むんだ
大切な人を護るために


僕の『朱音』という名前は人を護れる名前なのだから





というのが2ヶ月前の出来事だ

必ず明日菜先輩を救う
そう誓った日だ


「朱音くん、そろそろ準備はいいかい?」


「あっ、はい!今着替え終わりました」


現在僕が着ているのは黒いアンダーウェア
これにはセンサーが内臓されていてそのセンサーが僕の動きを感知してモーションを調整するというものだ
つまり『片手直剣』と『短剣』のソードスキルは僕の動きが元になっている
これはとても大きなアドバンテージだ

少なくとも『片手直剣』と『短剣』の扱いにかけてはゲーム内で上位に食い込めると思う





こうやって僕は着々とデスゲームで生き残る術を身に付けていった

そしてその1ヶ月後ついに全ての調整が終わりβテスト版『ソードアート・オンライン』が完成した
さらにその数ヶ月後にβテストが開始された


僕は放課後アーガスでβテストを受けることとなった
まだ当分朝早くに登校しなくてはならなくなったが…


「では楽しんできてくれ。この茅場昌彦プレゼンツの『ソードアート・オンライン』を」


「まぁ、まだβテストですけどね。じゃあ行ってきます」


「あぁ、行ってらっしゃい」



このβテストがデスゲームの予行練習だ
まず目標は死なないこと
βテストで死んでちゃ本命は生き残れない


さぁ、気合い入れて行こう



「リンクスタート!」




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━そんな感じで6話をお送りしました!しかしご都合主義ですね!そこの所はあまり指摘しないでくれると嬉しいです。あとヒロインなんですがやっぱり原作ヒロインを全員取り入れようかと…ヒロインたちが薄くならないように頑張りますので!これからも応援よろしくお願いします!

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