扉の向こうはネコの世界だった。
ネコが爪を立ててもいいように、ダンボールを一面に貼った壁。
ネズミのおもちゃ。鈴のついたおもちゃ。
ふかふかのお布団。
その中に一匹の茶トラのネコ。
「きよえさんっていうんだ。」
トモさんが近寄ると、きよえさんは体を摺り寄せた。
「すごくなついていますねー。私ネコに嫌われやすいけど大丈夫かな?」
「きよえさん人懐っこいから大丈夫だろ。」
そう言うと、トモさんはきよえさんを抱っこして私の目の前に差し出した。
「はじめまして、きよえさん。」
そう言って頭をなでてみた。
とてもキレイな毛並みだった。
ハルカの顔がほころぶ。
「かわいいー…。動物大好きなんですよ。」
しばらくきよえさんと交流を深めていた。
すると思い立ったようにトモさんが奥の部屋に入った。
きよえさんもトモさんの後を追う。
ハルカも立ち上がり、きよえさんの後を追ってダンボールの部屋を出た。