「っつぇぇ〜……。セーフ。」
「お前なぁ、そこはオレの胸に来るところだろ。」
ものすごい態勢のハルカ、ため息をつくトモさん。
実は、トモさんに手を引かれて倒れる瞬間、ギリギリのところで床に手をついてトモさんの胸に飛び込まないように寸止めしていた。
そのためすごい態勢になっているのだ。
ゆっくりと態勢を直し、トモさんから距離を取る。
「はぁぁ、びっくりしましたよ。」
ハルカの目は泳いでいた。
長い髪を指でくるくるといじりながら、きょろきょろしている。
「も、もうこんなことしちゃいけませんからね!」
耳まで赤くなっているハルカの姿はなかなかかわいいものだった。
「うわっ拒否られたわー。オレまじショックー。」
トモさんは体育座りになって、落ち込んでみる。
その様子を見て、思わず言ってしまった。
「別にそういう意味ではないんですよ。ただ……」
初対面だよ!?いきなりハグとかないでしょ。
そういうのは付き合ってからするもので、私たちはまだ早いと思うんだよ。
混乱するハルカをよそに、トモさんは犬のような潤んだ瞳でこっちを見つめる。
「付き合ってないので、そういうことはできません。」