「そんなこと言いながら、本当は離れたくないくせに。」
ニヤニヤした意地悪そうな顔で聞いてくる。
「いやいや!マジですっ本当と書いてマジって読むんです!!」
首をぶんぶん振りながら、必死に答えるハルカ。
これ以上くっついていたら、さらに何かされるじゃん!?
初対面の人に唇を許すとか、乙女としてありえないから!
ってかそもそもハグ自体許せないけどさ。
頭で混乱していても、トモさんの腕の力は弱まることはなかった。
でも……さすがにもう離れないとやばい。
そう思って顔を上げたときだった。
「本当に離れたいのか?」
少し低めに抑えた声で聞かれた。
冗談ではなく、本気で聞いているような。
思わずその声にドキッとしてしまった。
「え?あっ……。」
声が出ない。
放してと言うつもりだったのだけれど。
心が拒否しているからだろうか。
するとトモさんはハルカの顔に手を添えた。
そしてゆっくりと顔を近づけた。