ゴン!と鈍い音がした。
「うあぁぁ……トモさん石頭です。痛いです。」
おでこをさすりながらハルカが言った。
「それはこっちのセリフだよ!くそう拒否られちまった。しかも頭突きで。」
こちらもおでこをさすりながら答える。
「拒否権を発動する!パス1だ!」
ビシっとトモさんを指差しながらそう言い放った。
「だー!わかった!もうしないから。それより何か見ようか。」
そう言って本棚のDVDを適当に漁った。
ハルカも棚へ目をやる。
だいたいが洋画のだった。
知っているタイトルや、見たことのあるタイトルも多い。
「これならグロやホラーないし、見やすいだろ。」
と言って、トモさんは一本の作品を取り出す。
アクションもののようだ。
初めて聞いたタイトルだけど。
「はい、あたしは何でもいいですよ。」
キスやハグされないなら、なんだっていい。
というのが本音だった。