小説『うつ病の彼とヤンデレな私。』
作者:どくたけ()

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もうこの時期になると、夕方はかなり涼しい。

セミの声も聞こえなかった。

適当な会話をしながら歩いて、もう駅に着いてしまった。

「今日はありがとうございました。」

ペコリと頭を下げる。

「また来いよ。」

トモさんは笑いながら言った。

「えぇ、頭突きされたいのなら。」

ハルカも笑いながら返す。

「それはやめてほしいな。」

そう言いながら近づいてきた。

そしてポンポンと頭をなでる。

頭をなでられて悪い気はしなかった。

「オレ寂しいからさ、また来いよ、な?」

愛おしそうに頭をなでながら、トモさんは言った。

「あ、あたしでよければ……あ!電車来るし、もう行きますね!さよなら!」

若干走りながら改札を通る。

ふと振り返ると、トモさんが手を振っていた。

ハルカも笑顔で手を振り返して、ホームへ向かった。

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