帰りの電車の中、いつもなら眠っているはずが今日は起きていた。
しばらくボーっとしていたが、なんとなくスマホを取り出す。
[今日はありがとうございました。
きよえさんかわいかったです。
いろいろお話できて楽しかったです。]
適当にメールを作成し、トモさんに送信する。
男の半分以上は、このタイミングで返信ないんだよね……。
トモさんからのメールも、返信はこないだろうと思っていた。
頭を窓ガラスにくっつける。
電車の振動が心地よかった。
そのとき、いきなりケータイのバイブがなる。
[きよえさんは世界一かわいいんだからな。
また来いよ。きよえさんも待ってるから。]
来ないと半ばあきらめていたので、きょとんとしてしまった。
とりあえず電車の中はヒマなので、返信する。
[きよえさんも可愛いけど、うちのワンコも可愛いです!
またお邪魔させてください。]
電車の中はいつも寒かった。
節電と言いながら、ムダに冷房は強い。
しかしなぜかハルカは寒く感じなかった。
[会ったら余計に好きになっちまったよ。]
トモさんがそんなメールを送ってくるからだ。
「バカじゃないの……。」
電車の中で人がいることもお構いなく、そうつぶやいたハルカ。
その顔が真っ赤だったことは言うまでもない。