小説『うつ病の彼とヤンデレな私。』
作者:どくたけ()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

帰りの電車の中、いつもなら眠っているはずが今日は起きていた。

しばらくボーっとしていたが、なんとなくスマホを取り出す。

[今日はありがとうございました。
きよえさんかわいかったです。
いろいろお話できて楽しかったです。]

適当にメールを作成し、トモさんに送信する。

男の半分以上は、このタイミングで返信ないんだよね……。

トモさんからのメールも、返信はこないだろうと思っていた。

頭を窓ガラスにくっつける。

電車の振動が心地よかった。

そのとき、いきなりケータイのバイブがなる。

[きよえさんは世界一かわいいんだからな。
また来いよ。きよえさんも待ってるから。]

来ないと半ばあきらめていたので、きょとんとしてしまった。

とりあえず電車の中はヒマなので、返信する。

[きよえさんも可愛いけど、うちのワンコも可愛いです!
またお邪魔させてください。]

電車の中はいつも寒かった。

節電と言いながら、ムダに冷房は強い。

しかしなぜかハルカは寒く感じなかった。

[会ったら余計に好きになっちまったよ。]

トモさんがそんなメールを送ってくるからだ。

「バカじゃないの……。」

電車の中で人がいることもお構いなく、そうつぶやいたハルカ。

その顔が真っ赤だったことは言うまでもない。

-22-
Copyright ©どくたけ All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える