小説『うつ病の彼とヤンデレな私。』
作者:どくたけ()

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いつものように降りると、トモさんが出迎えてくれた。

「最後の授業体育だったから、少し汗臭いかも。」

「気にするな。」

そんな会話をしながらトモさんの家に向かう。

付き合ってからトモさんと会うのは、今日が初めてだった。

付き合ったんだから、手繋いだりするのかな?

内心期待していた。

しかしトモさんから手を出す気配はない。

……ここは自分から出さないとなのかな?

一瞬手を伸ばした。

しかしその手を引っ込める。

……もしイヤだったら、迷惑だよね。

いつもそう、いつもそうなんだ。

何か一歩踏み出したくても、相手に迷惑だったらと考えて踏み出せない。

そんなことを考えながら歩いていたら、もう目の前にはトモさんの家があった。

「今日お前元気ないのな。会話なかった。」

心配そうにトモさんが顔をのぞく。

「え?ああ!体育で疲れたんですよ!」

トモさんに心配かけたくない。

無理やり元気を装って、ハルカはそう答えた。

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