たしかに、トモさんの部屋にはたくさんのお薬がある。
そしてホワイトボードには[次回精神科 ○/○ ○時]というメモがあった。
これはすべてトモさんのものだったのだ。
本当に悪いことをした。
トモさんの胸の中で、小さく謝罪の言葉を口にした。
「おい、そろそろ飲まないと電車間に合わないぞ。」
そう言われて、ハルカは我に返った。
電車の時間まであと30分、たしかにコーヒーを飲んだらちょうどいいくらいだ。
「そうですね。ありがとうございます。」
そう笑いかけ、ハルカはコーヒーを一気に飲んだ。
ぬるくなると、よけいに薄く感じた。
「じゃあそろそろ帰ります。」
そう言って立ち上がると、後ろから抱きつかれた。
不意打ちだったため、少し戸惑う。
「もう少し時間あるだろ。だから……。」
そのままトモさんは腕に力を込めた。
ハルカはその温もりを背中で感じ取った。
「恥ずかしいから!帰りますよ!」
くるっと振り返った先に、トモさんの顔があった。
そしてハルカが避ける前に、トモさんがキスを仕掛けた。