トモさんの部屋に着くと、トモさんは手招きをした。
そして無言でグーに握った手を出した。
「どうしたんですか?」
ハルカがそう聞くと、トモさんはにやけながらゆっくりと手を開く。
その手の中にあったのは二つの指輪だった。
「え?本当に?」
嬉しくてハルカは目を輝かせた。
そしてトモさんはまた無言で、しかし嬉しそうに頷く。
「だって、確かにサイズは測ったけど、本当に買うなんて思わなくて。」
付き合ってまだ一ヶ月も経っていない。
だからそんなの軽い冗談だと思っていた。
「そんな冗談なんて言うかよ。」
と笑いながら、トモさんはハルカの左手を取った。
ーーーあぁはめてくれるのかな?
ってそんな期待しちゃダメでしょ!
裏切られたときのショックが大きくなるだけだから……。
しかしトモさんは期待を裏切らなかった。
スッとハルカの左手の薬指に指輪をつけた。
「サイズ少し大きいけど大丈夫だな。」
「えっと……ありがとうございます……。」
二人指輪を見つめながらそう言った。
そしてトモさんが自分の指にもう一つの指輪をはめてみた。
「少し小さい……。入るからいいけど。」
そう言ってしょ気ているトモさんを見て、あまりにかわいくてハルカは笑った。