小説『天使ちゃんはS級魔導士のようです』
作者:コタツマン()

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原作は漫画準拠で進めて行きます。
一応wikiなどは見てますが時系列を使い出すとぐちゃぐちゃになるかも・・・
作者はコメントでやる気をだします。

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第二話


心臓が普段よりもずっと早い鼓動を刻む。自然と足がすくむ。息も苦しくなってきた。

こんなに緊張したのは何時ぶりだろうか。親父のエロ本をだまって読んだとき?そこにちょうど母さんが帰ってきたとき?

息を吸ってーーゆっくりと吐く。

そして全身の精孔を閉じ、自分の体から発散される魔力を絶つ。

・・・HANTER×HANTERの絶の魔力版といったところだ。

何で出来るのかって?幼少時、魔力を見つけ出そうと瞑想を繰り返していた時、突然白いもやのようなものが身体から噴き出すのが見えたのである。まさかの念である。

そして今の私は修行に修行を重ね、念の応用技まで完備したスーパー天使ちゃん。


さらには何故か持っていた『Angel player』のおかげで特殊能力が使える。これは私が生まれたときから近くにあった。もしや私が覚えてないだけで実は神様に特典としてもらってたとかそんなんだろうか。



閑話休題



意を決して私はその小さな老体でカウンターの上で胡座をかいているマスターに声を掛ける。

「・・・マスター」

「うひょう!!!」

奇声を発しながら跳ね上がりばっと顏をこちらに向けるマスター。そこにいるのが私だとわかるとほっと息を吐き、そして眉間にしわを寄せて難しい顔をし出す。

「むぅぅぅ・・・腕を上げたのうカエデ、気付かんかったわい」

言い忘れていたが私は今カナデ・ビーツと名乗っている。由来はもちろん天使ちゃんだ。それにAngel Beats!の一部を合わせてカナデ・ビーツである。我ながら安直な名前だと思わなくもない。


「フフッありがとう。でもここまで気付かれなかったのはマスターだけよ、やっぱりすごいわマスターは」

「ほっほ!そうじゃろう!そうじゃろう!?」」


絶を解き、ついに聖十大魔道に気付かれない大挙を成し遂げた喜びを隠すことなく顏に浮かべながら、マスターに賛辞を送ると、調子に乗ってくねくねし出すマスター。そんな姿に思わず笑いをこぼしながらも持っていた依頼書をカウンターに置く。


だいぶ話が逸れてしまったが本来の目的はこっちだ。


「これいってくるわ」


「・・・ふむ、まぁお前さんなら問題はないじゃろう、それにしてもまだチームを組む気にはならんか?」


マスターはこの頃やけに私にチームを組ませようとしてくる。

しかし、私はこのギルドに入ってから一度もチームを組んだことがない。必要性を感じていないからである。私は討伐系の依頼を好んで受けているが、大抵のモンスターは念を使えば苦戦することもなく一瞬で終わらせられるので、仲間がいてもあまり意味はない。むしろ報酬の山分けで損する位だ。

そんな私に何故チームを組ませようとしてるのか、今だに分からない。最近はチーム位組んでも問題は無いと考えているが、如何せんタイミングが悪い、今回のクエストは私一人の方がいろいろと都合がいいのである。

「ごめんなさい。また今度ね」

「むぅ・・・仕方ないのぅ」

残念そうな顏をするマスターに少し罪悪感がわいたが、すぐにいつもの顔に戻ったのをみて安心する。そしてそのままクエストに向かおうと思っていたのだが

下の階に私が降りてきていることに気付いたギルドのみんながまるで珍しい物をみたと言わんばかりの表情をしていた。

いや、確かに私は普段二階にいることが多いが、依頼を受ける時や、買い物に行く時なんかはいつも降りてきている。なのにそんな反応をされるとは心外だ。



・・・と言えればいいのだが



私は普段絶を使いながら生活している。最近になってマスターにも気づかれないレベルに達した絶を、である。

そんな私を見つけてくれとは中々に難しい注文であろう。というかそう簡単に見つけられたら私が凹む。

私が絶を使っているのは、その方が疲れが早くとれるということ、そして一番の理由にロキに見つからないためであった。

彼は何かと私を見ると様々な美辞麗句を並べて口説いてきたのだ。普通の女であれば鬱陶しいとは思っても嫌な気分にはならなかっただろう。だがしかし、身体は乙女、意識は漢の私である。正直鳥肌が止まらなかった。そして彼から逃れるために絶を使っていたのだ。

そんな日々がしばらく続いたある日。たまたま絶を解いてくつろいでいた私のからだを触ろうとしてきた彼を思わず硬と常時発動のオーバードライブのコンボでぶん殴ってしまったのである。

それからは流石に近付いてこなくなったが、それまで培ってきた習慣は中々治すことが出来ず今でも絶を使い続けているのだ。

今思えば絶の上達に最も貢献してくれた人物では無いだろうか。


また話が脱線してしまったな


今、私の目の前には上半身裸で右胸のあたりにギルドのマークを付けた黒髪の男が私を背の関係で見下ろすように立っている。

「お前が下にくるなんて珍しいじゃねえの、今日は雨か?」

「今日は一日快晴よ。あと服を着たら?『グレイ』」

「うおっ!!!いつの間に」

「気付いてなかったのかよ!!!」

すかさず周りの人がツッコミをいれてくれる。私はキャラ的に突っ込みをしずらいのでこういうノリのいい人達がいてくれなくてはグダクダになってしまう。小さいけど重要な役割だ。

「それに降りてきてないわけじゃないわ。貴方が気づかないだけよ」

「無茶言うなよ!!!マスターも気づかなかったのにおれが気づけるわけねーだろ!!?」

さっさと服を着直したグレイが私の理不尽な言葉に最もな言葉を返してくる。ちなみに絶のことは誰にも教えていないので、みんなからの印象は恐ろしく影が薄い子になっているらしい。納得いかん。

「それでどうかしたの?」

「おっとそうだった、ナツがどこいったか知らねえかきこうと思ってたんだ」

?そういえばグレイってあの時いなかったっけ?うーむ思い出せん。別に教えて何が変わるわけでも無いしいいか。

「ナツならマカオさんが帰ってこないからってハコベ山に行ったわ、あの新入りの子も一緒ね」

「ケッ相変わらず甘いやつだぜ」

「相変わらず仲がいいわね。羨ましいわ」

「今のをどう聞いたらそんな風に捉えられる!!?」ぐもぉ

心底驚いた様子であの独特の擬音を発しながらこっちを見るグレイ。ふっふっふ、そんな反応したって無駄である。私はすべてお見通しなのだよグレイくん。ただ男のツンデレは流行らないぞ?


「・・・何か今とてつも無く不名誉なことを言われた気がするんだが」


「気のせいよ」


「いや、でも「気のせいよ」そ、そうか今からクエスト何だろ?引き止めて悪かったな」

「ええ、行ってくるわ」


何処か納得のいかなそうグレイの顔を背中に受けながら今度こそ私はクエストをこなすためギルドを後にするのだった。





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今回出てきた用語の簡単な説明を少々こちらで書かせていただきます。本編では何かと入れられそうになかったので。

ハンターハンターより
絶ーー全身の精孔を閉じ、自分の体から発散されるオーラを絶つ技術。気配を絶ったり、疲労回復を行うときに用いられる。また、オーラを纏わないため念能力者相手に防御力が落ちる。が、この世界で念を使うのはカナデだけなので通常のダメージになるだけである。


硬ーー念の応用技の一つで集大成
練ったオーラを全て体の一部に集め、特定の部位の攻撃力・防御力を飛躍的に高める技術。その部位以外は絶状態になるので完璧な諸刃の剣。

エンジェルビーツより
オーバードライブーー常時発動型のガードスキル。身体能力が向上する。具体的に言うと大の大人10人なら軽々と持ち上げられる程である。


次回ようやく戦闘描写入ります。過度な期待はおやめ下さい。

-3-
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