小説『Replay』
作者:カズィー()

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何が何なのか訳が分からない。僕の身に起きてる事は一体何なんだ。
「ここは、何なんだ」
「不の空間だ。どこでもない。何も無い。」
「ここは、僕の作った場所じゃ無いのか?」
「あぁ、違う。そんな場所じゃ無い」
「お前は…僕なのか?」
「ふっ」
 声だけだが、鼻で笑っているようだ。一体どんな顔で笑ってるのか。そもそもコイツに顔なんてものがあるのだろうか。声もまるで機械音だ。ノイズのかかった声。周波数の合わないラジオのようだ。何もかも不明な人物。でも、僕の目の前に居ることは確かだ。目の前、と言ってもどこまで続いてるか分からない暗黒の中だけど。
「お前はそんな事だと思っていたのか?」
「あぁ」
「これは自分が作った幻想とでも思っていたのか? 現実から逃げる自分が作ったものだと?」
「あぁ」
「ふっ」
「言いたいことがあるなら言えよ」
「なら言ってやる。俺から言わせてみれば、現実から目を背けてるのはお前の方だ! これが現実だ! 受け入れる事は逃げる事じゃない! 今起きていることが何にせよ、それが現実なんだ! 受け入れるしかないだろ! 夢や幻想だって? そういって起きている現象に目を背けているんだよ!!」
「仕方ないだろ! 親友が目の前で死んで、それすら受け入れてないところに声がして! 今日をやり直したいかだぞ! そして時間は戻った! そしてまた親友が死んだ、で、やり直したいかだ! 受け入れろって方が無理なんだ!」
 怒りがこみ上げた。何が分かるんだコイツに。もう僕の前で竜崎が二度も死んでるんだ。こんな奴に分かってたまるか。僕の戸惑いが。
「受け入れるしかないんだ。全てを…」
「……」
「……」
「……」
「さぁ、話を戻そう。今日をやり直したいか」
「……」
「どうなんだ」
「聞かなくても分かるだろ」
「分からないな」
「戻せ。もう出てくるな! お前なんか消えろ!」
「そうか。ならそうしてやろう」
 その瞬間、光が僕を包んだ―――

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