小説『Replay』
作者:カズィー()

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もう外は薄暗い。夕焼けがでていてる。竜崎と話しながら歩いていると国道に出た。横断歩道を渡ろうする。が、その時、信号無視してきた車がクラクションを鳴らしながら突っ込んで来た。一瞬時間が止まった様な気がした。車の光が眩しい。薄暗い夕焼けの中、車の光が僕を貫くように照らす。終わりを予感した。
(こんなとこで……終わるのか?)
 そう思った時、僕は目をつぶった。車と正面衝突すると思った。しかし僕の体に当たったのは車に衝突した時の大きな衝撃では無く、小さな衝撃だった。その後感じたのは、地面に叩きつけられる衝撃だった。目を開けたときは僕は絶句した。止まった車と一面に飛び散った血。そして、地面に横たわる竜崎の体。何が起こったのか一瞬分からなかった。しかしその時、僕は理解した。竜崎が僕を突き飛ばし、代わりにはねられた。ピクリとも動かない竜崎の体が目に焼き付いた。周りの人たちが何かを言っている。しかしそんなのは耳に入らない。
 その時、急激なめまいに襲われた。そのめまいに抵抗できず、僕は暗闇に墜ちていった。
何も無い空間。光も音も。ただの暗黒が無限に広がっているような。このまま死んでも良いなと思った。今も今後も考えず、半パニックになっている僕はそう思ってしまった。竜崎が死んだ。その事実しか今は考えれなかった。静止した時間が続いた。しかしその静寂を破ったのは一つの声だった。ノイズのかかったような声。誰の声かなんて特定できない雑音のような声。その声は言った。
「今日を……やり直したいか?」
その言葉は、僕の「明日」を消す、引き金だった。

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