小説『とある東方の弦楽器』
作者:のださん(のださんさんのマイページ)

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第十三話 地底へ
Side命切
家には今五人の人が居候している。
わが家は河童がかなり大きい家を建ててくれたのでスペースには問題ない。
しかし問題がひとつある。
それは食料が足りないことだ。
みんなが食べる量を計算すると今の稼ぎは大きく上回っていた。
しかし、その量を全て買うとなると今度の永遠亭の取立てに間に合わなくなる。
あの利子おかし過ぎる。
てなわけなので今自給自足のため一人で狩を行っている。
美鈴とパチュリーは紅魔館を建てにフランとレミリアは留守番、咲夜は二人の世話である。

狩を続けて一時間獲物が取れないので能力使うかなと思っていたとき見たことがある赤いリボンをした女の子が飛んでいくのが見えた。あれは

「霊夢〜」

「ん?あれ?命切じゃないこんなところでどうしたの」

「まぁ、ちょっとな。お前はどうなんだ。」

「あなたの演奏聞きに行こうとしてたのよ」

「そりゃどうも。ところで俺の頼みを聞いてくれないか?」

「頼み?」

「あぁ、地底に連れて行ってくれないか?」

「なんで地底なんかに」

「命切も行くのか?私も行く予定だったんだぜ」

「魔理沙?」

いつから聞いていたのか知り合いの魔法使い魔理沙が上から降りてくる。

「あんたが行くならいいわね。私はパスで」

「ほら見てくれよ霊夢地底にある居酒屋が秘蔵の酒を「今すぐ行きましょう、さあ行きましょう」変わり身早いな」

「まぁいいじゃないかそれじゃ明日ね」

「わかったわ」「了解だぜ」

「じゃ、私は用意があるから帰るわね」「じゃあな命切」「おうじゃあな」

そして俺は狩を終わらせさっさと帰った。
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今現在、俺は家に居候している紅魔館メンバーと夕飯を食べている。
今日の夕飯は白米に今日狩った動物の肉の焼きそばである。
誰だ炭水化物ばっかりって言ったやつ出て来い。

「てなわけで、明日地底に行って来るから留守番よろしく」
箸で焼きそばに入っている野菜を避けるフランを咲夜が注意するのを横目に美鈴が聞いてくる。

「地底にですか?」「そうだよ」

「でも地底は嫌われた妖怪などが流れ着くところで「地下世界なんてあこがれるじゃないか!」はぁ」

「いやだって地底って地下なのに雨降ったりするんでしょ。そんなパラレルワールド行きたいと思わない外来人はいない!」

「フランも行く〜」「行くか?」

「駄目よ、フラン明日は紅魔館でどのへんに部屋を作るか決めるんだから」

「は〜いお姉さま」「残念だな」

焼きそばを食べながら咲夜が話しかけてくる。

「命切さん、ちなみに一人で行くのですか?」

「いや、魔理沙と霊夢が一緒に着いて来てくれる」

なぜか咲夜が睨んでくる。なぜだ?
___________________________________次の日__________________________________

「ここが地底への入り口か」

「そうだぜ」

俺の前にあるのは『でかい穴』。
入り口と聞いてRPGのような竪穴を想像していたのだが、まるで丸い崖。

「さて行くわよ。待ってなさい秘蔵の酒!」

「あ!待てさきがけはずるいぜ」

魔理沙と霊夢はこの崖を飛び降りるので俺も続く。

「おや博麗の巫女じゃないか久しいね」

「あら、ヤマメじゃない、久しぶり」

「私もいるのだ〜」

「お、キスメもいるのか久しぶりだな」

俺の目の前には妙に腹部が膨らんだ金髪の女性と桶に入っている緑髪の女の子がいる。

「霊夢この人たち誰?」

「そっちの金髪は『土蜘蛛』の黒谷(くろだに) ヤマメ「ヤマメだ。よろしく」桶に入っているのは
『釣瓶落とし(つるべおとし)』のキスメ「よろしくー」」

「どうもモンラッテ・命切「「・・・?」」偽名ではない!」

「「ゑ?」」

「そういうこと言わないで・・・」

まあまあと魔理沙が肩を叩いてくる。

「その男はどっちの恋人なんだい」

「「グハッ!」」

「?」

「いやいやいやいや別に命切とはそういう関係じゃないから」

「そそそうだぜ」

ヤマメは何かわかったような顔でニヤニヤする。

「ふうん、ま、いいけど、それよりもこっから先行かないほうがいいよ」

「なんかあるのか?」

「いや〜なんかパルスィが暴走してて」

「パルスィって?」

「『嫉妬心を操る程度の能力』を持つ妖怪なんだけどなんか今日はご機嫌斜めでね」

「そうなんだよ今日は妬み度が120パーセントくらいの勢いなんだよ」

「?」

「いやーあいつはなんでもかんでも人を妬むやつでね」

「この前私なんか『・・・妬む要素がないのが妬ましい』って言われて」

俺が頭に疑問符を抱いていると奥から思わず哀れんでしまいそうな声が聞こえてくる。

「妬ましい、妬ましい、妬ましい。妬ましい・・・・・」

「おっと私は面倒ごとは厄介なんでな逃げさしてもらうよ」「私もー」

じゃあねーと言って二人は飛んでいってしまう。

「で、どうする?」

「いや、どうするって言ったって」

「もう来てるぜ」

奥からさっきの声の主パルスィが来る。

「・・・妬ましいわ。そこの男」「俺?」

なんで俺?そして魔理沙が、頑張れと言って肩を叩いてくる。

「・・・そんなに女性に囲まれていて妬ましいわ」

いや二人だけなんだけど。でも俺が今言うべきなのはそこじゃない。



「うらやましい」


「「「は?」」」

「初対面でも人から嫌われるようなことが言えるのがうらやましい!」

「「「・・・」」」

「いやー俺さ外来人なんだけど外の世界で苛められていてな。でも嫌われるのが嫌だからそういうの言え
なかったんだよ」

「・・・あなたとは気が合いそうだわ」

「俺もだ」

お互いに手をがっしりと握る。

「俺外の世界では毎日石やら何やら投げられてな」

「・・・私も平安時代ある人に裏切られて」

目からさっき行く途中に飲んだ水が出てくる。
そうこれはさっき飲んだ水に違いない。

「ある日は植木鉢だったりしたよ」

「・・・それは大変ね」

「俺さ教師にも嫌われていてね、その時流血したのに味方が誰もいなくてね」

「・・・それならまだいいわ、私なんか・・・」

「いやいや俺なんか・・・」

さっきから目から水が止まらない。こんなに飲んだはずはなかったのにな。

「私なんか」「いや俺なんか」「いや私なんか」「いや俺なんkグハッ」

俺の言葉が途中で止まったのは霊夢が途中で止めたからだ。

「もう聞くに堪えないわ!」「同感だぜ」

「ちょっと待てまだ十分の一も「いいから!」はい・・・」

「じゃあな、パルスィまたいつかな!」

「・・・あ」

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「今の彼女にもう一度会いたい、これが恋なのだろうか」

「絶対違うと思うぜ」

今俺たちはパルスィとあった場所からかなり離れた場所にいる。
ここはかなりに拓けていて、家も建っている
霊夢は横で「あの死んだ魚の目」とか「闇のオーラ」とか言って震えている。

「で、お目当ての居酒屋は何処なんだ」

「あそこみたいだぜ、ほら霊夢いくぜ」

(なんで魔理沙そんなに元気なのよ・・・)

(いや私もこう見えて思い出すと震えがとまらないぜ・・・)

「なにぼそぼそ話してんだ?」

「「なんでもない(ぜ)」」

「そうか」

気にせずお目当てのその居酒屋へ行く。
扉を開けると「らっしゃい」と威勢のいい声が聞こえてくる。

「あれ〜霊夢じゃないか」
「あれ?翠香(すいか)?勇儀(ゆうぎ)も」

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