結局7時間かかって書き終え、照火はシャープペンシルを置いた。するとスピーカーから、『全員終わったようですね?』という声が聞こえてきた。どうやら一番最後だったらしい。
『えーっと。残ったのは6人か・・・・・・、結構少ないなぁ。まぁいいや。じゃあ今から二次試験を始めます。皆さんは教室を出て自分の担当の人に聞いて体育館まで行ってくださーい。それでは♪}
そう言って放送はぶつりと途切れた。
もともと何人いたのかは知らないが、机の数からしておおよそ20人はいたのであろう。だが今は6人しかいないらしい。14人ほどリタイアしたのだろう。おそらくあのアンケートに耐えられなくなって。もちろん他の人の質問内容は知らない。だが自分のものと同じような内容だったに違いない。
照火はしばらくの間席を立てずにいた。
ガララッ。
ドアがいきなり開いて唯が入ってきた。
「あれ?なにしてるの?早く行かないと間に合わないよ?」
唯は何も知らないかのように言ってきた。あのアンケートはだれが作ったのだろう。唯はこの部屋の担当だったのだから何か知ってるかもしれない。
「・・・・・・ったの?あのアンケートはだれがつくったんだよ!?」
照火は声を多少荒げていった。あのアンケートはどう考えても心を折るためのものとしか考えられない。問題を作ったやつがわかったらすぐにでも殴りたい気分だった。
だが唯の答えはこんなものだった。
「あのアンケートの420問はだれが作ったのかはわからないけど、たぶん作ったのは神様だと思う。でも、後の180問を作ったのは照火自身だよ?」
「?」
自分が作ったとはなんのことだろう。
「このアンケート用紙はね・・・」
唯は何も書かれていないアンケート用紙を手に取る。するとそこに文字が現れた。
「さわった人の心、記憶に強制介入(クラック)して、その中から、その人が一番ふれられたくない記憶を読み取って、自動作成(オートプログラム)してるだけ」
・・・なるほど。だから他人が絶対知りえないようなことが書いてあったのか。納得し・・・、いやできるはずない。こんなシステムを作ったやつは人の心ををなんだと思っているのだろう。
「さぁさぁ黙り込んでないで行こ?」
唯はそんな照火の考えていることなんかに気づきもせず、照火の手を(むりやり)引っ張っていった。