質問に耐えられなくなる、とはよくわからないが、とりあえず質問に答えることにする。
【問1:あなたが死亡したのはいつですか。(わからない場合は飛ばしてよい)】
死んだ日・・・、あの車にひかれた日でいいのかな・・・。
8月9日。
照火はそう書きかけてふと思い出した。
(あの日、僕の誕生日だったんだ・・・)
一問目から三十問目くらいまでは死んだことや、死ぬ少し前までのことについての質問だった。しかしそれから後は趣味をきいたり、特技をきいたりと、普通にどこにでもあるような質問ばかりだった。
四時間半かけてようやく420問目まで何とか終わらせた。そういえば70%は全員共通の質問。ということはここから先が個人個人の質問ということなのだろう。
【問421:あなたには何人友達がいましたか?】
「・・・」
【問423:死ぬ一ヶ月以内にあなたには何人の家族がいましたか?】
【問435:生前、あなたのことを信じてくれる人はいましたか?】
【問436:生前、あなたは信じることのできる人がいましたか?】
【問451:あなたは人を喜ばすようなことをしたことがありますか?】
【問472:あなたは人を助けるようなことをしたことがありますか?】
シャープペンシルを動かす速度がだんだん落ちてくる。学校での最悪な日々がよみがえってくる。友がいじめられている時に何もできずにたち尽くした自分。そんな姿が心によみがえってくる。友が死んだときに、封じ込めたはずのものが。
【問560:あなたの親友、光見雷人が自殺した理由は?】
質問は静かに、しかし確実に心の、記憶のもろい部分を突いてくる。雷人が自殺した理由?いじめにあっていたこと・・・。本当にそれだけだろうか・・・。それだけではないような気がしてきた。
解答欄には何も書かない。
その後の質問も容赦なく照火の心を突いていく。
(こんなところでくじけちゃだめだ。やるだけはやるって決めたんだ・・・)
そしていよいよ最終質問。
【問600:あなたが今望むもの(こと)は何ですか?】
望むもの?自分が生き返ること・・・?いや今はそれよりもっと気になることがある。唯は、僕は未練があるからここにいるといった。未練ってなんだろう。もし現世に何かやり残したことがあるとしたら・・・。